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「眠すぎ」
「すっごい眠くなってきちゃった……」
「ん?」
ルカと温泉、かなり長いことまったりと浸かっていたら。
ほんとに、眠くなってきちゃった。
「一度シャオの町に戻って、昼寝するか?」
「……してもいい?」
「ダメな訳ねーだろ。別に今日何もねえし」
ルカがオレの腕を掴んで、立たせながらそう言う。
「昨日のダメージ抜けてねえんだろ。来いよ」
「……ん」
皆の所に行くと、ちょうど皆もそろそろ良いかって話になってたらしくて。
服を着替えて、帰る事になった。
リアと別れて、男4人で着替え始める。
濡れた服を脱いで、いつもの服をすぽ、と頭からかぶった所で、はわはわと大きなあくびをしていたら、ルカがクスクス笑う。
ふわん、と髪の毛を温かい風が包んで、髪が乾く。
「わー……ありがと……」
なんて便利なんだ、ルカ……。
口にしたら怒られそうな感想を、心の中で言っていると。
着替えの入ったカゴから、紐を手に取って、オレのウエストの所できゅ、と縛ってくれる。
なんか、これ、よくルカがやってくれる。
いつも通りなので、普通に縛ってくれる間、待ってたら。
キースとゴウが、笑い出す。
「うん……?」
どしたの?と2人に首を傾げると。
「ルカが世話焼きの奥さんみたいに見えてきて」
キースがクスクス笑う。
「王子カッコいいとか言ってる城の女達が見たら、すげえびっくりするだろうな」
ゴウは、もうほんとに面白ぇと言いながら、クックッと笑い続けてる。
「…………」
…………よく考えたら、確かに。
服のウエストの紐、結んでもらうとか。
なんか、最初にこの服を着た時から、ルカがいつも大体やってくれてて。
自然と、受けてしまっていたけど。
服着て、ベルト閉めてもらってるようなもの??
……確かに、ものすごく、おかしいな。
と、そんな事に、今更、はっと、気づく。
「ルカ、自分でやる」
「は? もう終わったし」
「……今度から自分でやるから」
「何で? いーじゃんか、別に」
「……なんでって…… できるよ?」
「分かってるよ。一番最初は、分からねえからやってやったけど、今はもう、出来ねーと思って、やってる訳じゃねえよ」
「…………じゃ何で?」」
「最後結ぶと、なんか、オレのって感じするから」
「――――……」
意味が分からない……。
「別にすげえ嫌な訳じゃねーだろ?」
「……うん」
「じゃあ、オレはすげえやりたいから、やらせとけ」
「………………」
もうなんか、逆らう気もしない。
うん、と頷いてると、キース達が笑ってるのが分かるけど。
まあ笑われてるのルカだし。
いいや、ほっとこ……。
リアと合流は町の入り口。ついてすぐ、「ミウー!」と声を出した。
見える所には、ミウは居ない。
でも、すぐ、絶対聞こえないだろうって所から現れて、ぴゅーん、と飛んでくる。すっぽり腕の中に納まるミウを抱き締める。
「おまたせ、ミウ」
よしよし、と抱っこしていると、ゴウがミウに手を伸ばしてきた。
「お前、ソラの声、聞こえたの?」
ごついてで撫でられながら、ミウはじっとゴウを見てる。
「耳じゃないのかもね、何か、繋がってるのかな、ソラと」
「――――……?」
キースの言う事はよく分からないけど、確かに、オレの声が、ミウに届いたとは思えない。
そんな会話をしながら、ミウを抱き締めていると。
リアが「おまたせー」と現れた。
シャオの町に戻って皆と別れる。
皆は町のカジノに行くんだそうな。オレも後で行ってみたい……。
でも眠い。
「ルカもカジノで良いよ? オレ眠っちゃうし」
「――――……カジノは別に今はいい」
なんか、足元がぽわぽわ、する。
だめだ。オレ絶対、お布団入ったら即寝るな……。
こんな昼間からこんなに眠いとか。
――――……昨日のダメージ、ほんと残ってるのかな……。
宿屋に入って、部屋に戻る。
お布団にもぞもぞ潜って、横になった。
「ルカは……? 寝ない?」
「オレは眠くないけど――――……」
ルカがベッドの端に座る。
ルカの手がオレの頭に触れた。
「いいよ。寝て」
「ん……」
でっかい手……。
あったかいなあ。
またあくびが出た瞬間。
クスクス笑いながらルカが、オレの隣に入って来て。
腕枕、の形で抱き寄せられた。
「おやすみ、ソラ」
「――――……うん。おやすみ……」
暖かくて。
あっという間に、眠りにつきそう。というか、もうほとんど眠ってる中で。
「早や……」
くす、と笑いながら言う声がして。
くしゃくしゃと頭を撫でられた、気がした。
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