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「甘すぎるキス」※
「おっはよー、ソラ、いっぱい寝てきた?」
ルカに連れられて、皆が居る宴の部屋に入ると、リアがそう声をかけてきた。
「うん。いっぱい寝てきた」
「そっか、良かったね」
……寝たのは良かったけど。
その後、キスして欲しいとか言ったのが、間違いだった。
ルカはオレが言った通り、キス以上のことはしなかったんだけど。
――――……なんかもう、キスが……激しすぎて。
体中、ぽわんぽわんした熱に支配されて、頭の中、真っ白で。
抱き付いてた腕も、気づいたらベッドに落ちて。
その手をルカが握って。手を繋いだまま、ずーっと、キスされた。
息が出来ない位激しくキスされたかと思うと、ふ、と緩めてくれて。
舌を、優しく優しく舐めたり、噛んだり。
「……ん、んっ……」
「――――……これ、きもちいい?」
頷くしかなくて。すると、ルカが、ふ、と笑ってまた舌を可愛がるみたいな、キスをしてくる。
「……んぁ…… っ……」
かぷ、と舌を吸われて、引かれて。
舌の付け根が少し痛い。
痛いと言っても、すごく痛いんじゃなくて――――……。
なんか、甘すぎる、痛み。
「……る、か、もう――――……」
もぅ、いい。キス、もう大丈夫。 やめてくれないと、無理になる。
そう言おうと思うのに、名を呼ぶと。
多分ワザと、言わせないように。
激しく舌を絡め取られて、言葉にならない。
「………ん、ンふ…………っ……ふ……」
ルカの思うまま。
舌は、勝手に、ルカに応える。
勝手に、そうなってしまう位。
この数日の間で、オレはルカと、何度も何度も、キスしてきた。
そう思うと。
胸の奥が、きゅ、と縮むみたいで。
合わさる唾液が、口の中に流れてくる。
「……ん……っふ」
ごく、と飲み込んで。
はあ、と息を吐くと、また舌を吸われて。
もう、繰り返し。
荒っぽくして、優しくして、絡め尽くしたと思ったら、舐められて吸われて。
「ン、ふぁ…… は…………っ」
なんかもう――――…… キスだけで、イっちゃいそう……。
思った瞬間。
そっと、噛まれた舌が、ゆっくりと、離れた。
「――――……そろそろ、終わりにしとくか……」
オレ的には、ちょっと信じられないセリフ。
え。ここで?
「――――……え……」
あ、でも。
キスだけってお願いしたのオレだし。
……そっか、やめる、のか。
この、浮いてるみたいな感覚を、どうしたらいいんだろう。
と思いながら。
「起きれるか?」
繋がれていた手が外れて、そのまま、起き上がらせてくれる。
弾んでた息が零れそうで、自分の唇を、手の甲で押さえた。
「こんなにキスだけしたの初かもしんねー」
クスクス笑って、ルカが言う。
「これ以上やってたら、もう無理。――――……今のうちに、行こうぜ?」
「あ、うん……」
…………オレも。
こんなキスしたの、当然初めて。
……キスって、こんなにこんなに、気持ちいいんだって。
思い知った、感じ。
もう無理、とか言ってるけど。
ルカは、全然普通そう。
なんだかんだ言っても、キス位で、暴走したり、しないんだろうな。
慣れてるんだもんね。
…………なんか。
オレの方が慣れてなくて。
ずっと、このまま、して欲しいとか……。
「――――……っ」
色んな感情全部隠すために、ベッドの端に腰かけて、靴を履くふりをして俯いた。
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