111 / 293

「甘すぎるキス」※

「おっはよー、ソラ、いっぱい寝てきた?」  ルカに連れられて、皆が居る宴の部屋に入ると、リアがそう声をかけてきた。 「うん。いっぱい寝てきた」 「そっか、良かったね」  ……寝たのは良かったけど。   その後、キスして欲しいとか言ったのが、間違いだった。  ルカはオレが言った通り、キス以上のことはしなかったんだけど。  ――――……なんかもう、キスが……激しすぎて。  体中、ぽわんぽわんした熱に支配されて、頭の中、真っ白で。  抱き付いてた腕も、気づいたらベッドに落ちて。  その手をルカが握って。手を繋いだまま、ずーっと、キスされた。  息が出来ない位激しくキスされたかと思うと、ふ、と緩めてくれて。  舌を、優しく優しく舐めたり、噛んだり。 「……ん、んっ……」 「――――……これ、きもちいい?」  頷くしかなくて。すると、ルカが、ふ、と笑ってまた舌を可愛がるみたいな、キスをしてくる。 「……んぁ…… っ……」  かぷ、と舌を吸われて、引かれて。  舌の付け根が少し痛い。  痛いと言っても、すごく痛いんじゃなくて――――……。  なんか、甘すぎる、痛み。 「……る、か、もう――――……」  もぅ、いい。キス、もう大丈夫。 やめてくれないと、無理になる。  そう言おうと思うのに、名を呼ぶと。  多分ワザと、言わせないように。  激しく舌を絡め取られて、言葉にならない。 「………ん、ンふ…………っ……ふ……」  ルカの思うまま。  舌は、勝手に、ルカに応える。  勝手に、そうなってしまう位。  この数日の間で、オレはルカと、何度も何度も、キスしてきた。  そう思うと。  胸の奥が、きゅ、と縮むみたいで。    合わさる唾液が、口の中に流れてくる。   「……ん……っふ」  ごく、と飲み込んで。  はあ、と息を吐くと、また舌を吸われて。  もう、繰り返し。  荒っぽくして、優しくして、絡め尽くしたと思ったら、舐められて吸われて。 「ン、ふぁ…… は…………っ」  なんかもう――――…… キスだけで、イっちゃいそう……。  思った瞬間。  そっと、噛まれた舌が、ゆっくりと、離れた。 「――――……そろそろ、終わりにしとくか……」  オレ的には、ちょっと信じられないセリフ。  え。ここで? 「――――……え……」  あ、でも。  キスだけってお願いしたのオレだし。  ……そっか、やめる、のか。  この、浮いてるみたいな感覚を、どうしたらいいんだろう。  と思いながら。 「起きれるか?」  繋がれていた手が外れて、そのまま、起き上がらせてくれる。  弾んでた息が零れそうで、自分の唇を、手の甲で押さえた。 「こんなにキスだけしたの初かもしんねー」  クスクス笑って、ルカが言う。 「これ以上やってたら、もう無理。――――……今のうちに、行こうぜ?」 「あ、うん……」  …………オレも。  こんなキスしたの、当然初めて。  ……キスって、こんなにこんなに、気持ちいいんだって。  思い知った、感じ。  もう無理、とか言ってるけど。  ルカは、全然普通そう。  なんだかんだ言っても、キス位で、暴走したり、しないんだろうな。  慣れてるんだもんね。  …………なんか。  オレの方が慣れてなくて。  ずっと、このまま、して欲しいとか……。 「――――……っ」  色んな感情全部隠すために、ベッドの端に腰かけて、靴を履くふりをして俯いた。

ともだちにシェアしよう!