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「お祭りみたいな酒盛り」

 アランが、船乗りの人や町の人達も呼んだらしくて、時が経つにつれて、物凄い人数になってきた。  最初は一応、オレ達とアランは同じテーブルについたけど、なんか、皆、気さくすぎて、あれこれ話しかけてきて、席も、あってないような感じ。  女の子のダンスも始まるし、お酒も注ぎに来たりして。  とにかくすごい人数が居て、皆お酒が入ってくると、どんどん声が大きくなって。音楽も鳴ってるし、何のお祭りだ、的な雰囲気。  ミウを抱えたまま、一番端の席で、ぼんやりとその光景を眺める。  ……これは、すごいなあ。  皆、楽しそう。ふ、と笑ってしまう。  キースやリアもそれぞれ連れていかれてしまって。  オレも何度か誘われたけど、なんかまだ疲れてて、あのノリに入っていける気がしなくて断ってしまってる。でも見てるだけでも、ほんとに、楽しい。  ルカは相変わらず、たくさんの人に話しかけられて、囲まれてる。  そうしながら、さっきからアランと飲み比べみたいな事してるし。  そこにゴウも抜けたり入ったりしている。  オレがたまに見てるだけでも、特にルカとアランは、かなり飲んでる。  2人共、強すぎて、意味が分からない。 「お兄さん、お名前は?」  ふと見上げると、同じ年頃の女の子が、隣にすとん、と座った。 「ソラだよ」 「私は、ユウ。よろしく、ソラさん、お酒は? つぎますよ?」 「ありがと。ユウさん」 「ユウでいいですよ」  コップを差し出すと、ゆっくり、注いでくれる。 「ソラさんがだっこしてる子って、ミウですよね?」 「あ、知ってる?」 「うん。知ってます。触っても平気ですか?」  ユウがそう言うので、腕の中のミウを覗き込むと、ミウは、みゃ、と声を出した。 「きゃー、可愛い、声出すんですか?? 私こんなに近くで見るの初めてなんです! なんか、高い空を飛んでるのは見た事あったんですけど」  めちゃくちゃ嬉しそうにユウが笑う。  そんなに嬉しそうに笑われると、こっちまで嬉しくなってしまう。 「抱っこしてみる?」 「え、いいんですか?」 「うん、良いよね? ミウ」  聞きながら顔を見ると、ふわん、と飛んで、ユウの腕の中に入る。 「わあーー、めっちゃ可愛い……」  スリスリしながら、ユウが撫でると、ミウは気持ちよさそうな顔をしてる。  はは。 ミウ、ほんとに可愛い。  ミウの額の辺りを、ぷに、と押してみる。  みゅ、と、つぶれた顔をしてるのが愛おしい。 「ソラさんに懐いてるんですよね?」 「うん。そうみたい。なんか懐いてくれて」  ふ、と笑いながらミウを見つめると。 「すごく優しそうですもんね、ソラさん」 「あはは、そう? でもなんか、単純な人が好き、とも聞いたけどね」  ルカが言ってたけど。  その時のルカの顔が浮かんで、ふ、と苦笑いが浮かぶ。  入れてくれたお酒を一飲むと。。  ――――……結構苦い気がする。 「これって何のお酒?」 「これは、麦のお酒です」 「麦??」  もう少しだけ、飲んでみる。  ああ。麦って。……ビール??  ちょっと違うけど。でも、まあ、飲めなくはない。 「あんまり好きじゃないですか?」 「うーん。でも果実酒だと飲み過ぎちゃうから、これ位苦い方がいいかも」 「あ、そうなんですか?」  クスクス笑うユウに、うん、と返す。  話しやすい子だな。  ミウもすっかり腕の中で落ち着いているし。  ……甘えてるミウ、可愛いなあ……。

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