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「指定席?」
「わあ、めちゃくちゃ良い香り!」
リアが下りてきて、嬉しそうに声をあげる。
「ミウが空から下りてきたから連れてきたよ~」
抱っこしていたミウをふわふわ浮かせる。
すると、ミウは、オレの頭の近くまでふわふわ飛んでくる。
「あ、ミウ、まだ作ってるから待っててね」
そう言うと、ミウはオレを見て、みゃ、と声を出す。
そのままふわふわーと飛んで行って、ルカの腕の所にすぽ、と収まった。
リアとアランとオレ、同時に吹き出してしまった。
「ちょっとルカ……似合うような、似合わないような」
リアがクスクス笑って言うと、ルカが「似合ってたまるか」と苦笑いを浮かべる。
「何お前、当然のようにここに収まってくんの」
くる、と持ちあげて、ミウの顔を正面からのぞき込んでる。
「なんか最近えさあげたりしてたり、ちょっと仲良しだよね……」
オレが言うと、ルカとミウが、一緒にオレに視線を向けてくる。
「やめて、一緒にこっち見ないで、今よそってるのに、こぼしちゃう」
笑って、手がプルプルしてしまう。
「ソラ、気を付けろよ、熱いんだから」
「だって、ルカとミウが」
アランに言われて、オレがそう言いながらプルプルしていると。
「もう出来る?」
笑いながら息をついたルカがアランに向けてそう言いながら、ミウを、ひょい、と自分の側に浮かす。
「出来るよ」
「じゃあ、上二人呼んでくっか」
ルカがミウにそう言うと、ミウも、歩き出そうとしたルカの後ろを飛び始める。そこで一回ルカが止まって、アランを振り返る。
「アラン、いいんだよな? 看板に誰も居なくても」
「大丈夫。まっすぐ沖に進んでるから。さっきみたいに船にぶつかってきたら倒しに行ってよ」
「了解。ほら行くぞ」
その声に応じて、ミウがフワフワとルカの後をついていく。
「――――……おっかしー」
リアがそう言って、楽しそうに笑い出す。
「ミウ、ソラに張り付いてるけど、でもなんだかんだ、ルカにも懐いてきてるよねぇ」
「そだね」
オレも、やっぱりクスクス笑ってしまう。
「ソラとミウが一緒にいると可愛いんだけど……ルカと居ると、なんか笑っちゃうね」
リアの言葉に頷くと。
「ルカって、聞いてた話と、イメージが全然違うんだよな」
と、アランが笑った。
「噂って当てになんねえんだろうな?」
そう言って笑ってるアランに、リアとオレは顔を見合わせて、それからアランに視線をを戻す。
「どんな噂だった?」
「遊び人」
はは、と笑ってしまう。
「それだけなの?」
「もちろん、皆感謝してるから。王子としての評判は、言うまでもないだろ」
「……そうなんだ」
ああでも、それは、分かる気がする。
ずっと、皆がルカを見る目を、態度を、見てきたから。
「モテるし、適当に遊ぶけど、本気にはならないって聞いた。いずれ王になるし、王妃を探してるんじゃねーのって聞いた事もある」
王妃。かあ。なんか、その話したなあ……。
……一緒に居るのはオレでいいようなこと……なんか言ってたような。
……居られるのかな、オレ。
ふ、とそう浮かんで、少し黙っていたら、アランはまた笑い出した。
「……本気にはならないとか、誰が言ってたんだろうな? すげえ本気だよな? オレ、ちょっと触るとすげー怒られるし」
アランがオレをみてニヤニヤしながらそう言うと、ふふ、とリアが笑い出した。
「ソラに会うまでは、それであってたかも。王妃をとかは考えてたか分かんないけど。本気になってるのは、見た事なかったな」
「ああ、じゃあ噂はあってた?」
「うん。あってたよ」
「ふーん、そっか。……あ、ソラ、この肉そっちのせて」
「うん」
アランに言われるままお皿に並べていく。
「……最近ルカ、可愛くて笑っちゃう」
リアがクスクス笑いながら、オレに向かってそう言う。
「ソラが来るまではさ、ほんと、ルカが可愛いなんて、思ったことないから」
「可愛いかなあ? ルカ」
可愛い?
……うーん。どうだろう。
「可愛いよー、最近。なんか、笑っちゃうもん。最近ちょっとだけ年下に見えてきた」
「そうなんだ……」
リアの言葉に、んー、と少し考える。
……まあ確かに、ミウと向かいあってるのは、可愛い気がしないこともない。
ふ、と笑んでしまったところで、ルカとミウに連れられて、ゴウとキースも降りてきた。
テーブルに広げた料理に、二人がぱっと嬉しそうな顔をする。
「うまそー」
「二人ともお疲れ、ありがと」
ゴウとキースが言いながら近づいてくる。
「適当に座っていーよ」
アランが言うと、皆テーブルの周りの椅子に腰かけていく。
「いつ戦うか分かんないから、酒は禁止な」
アランが言うと、皆すごい嫌そうな顔。
……何で皆、そんなにお酒強いんだろ。すごい飲んでるからかな??
オレが皆みたいに飲んだら、絶対倒れる。
エプロンを外して、カウンターの上に置いて、どこに座ろうかなと思ったけど。ルカの横が空いてて、ミウがそこらでフワフワ浮いてる。
もうなんか、そこに座るの決定な気がする。
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