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守る*ルカside 2/3

 本当に、何がこんなに気に入ってんだか、自問する位。  ……急に、宙から降って湧いた、違う世界の男。  見えないけど年上で。……落ち着きないし、子供っぽいし。  ――――……でもなんか。  素直で。まっすぐで。すぐ、嬉しそうな顔して笑って。  ……オレ、結構最初、ひどいことしたような自覚はあるんだが。  違う世界から否応なく連れられてきた奴に、お前のせいで魔王逃がしたんだから、オレの鬱憤晴らしに付き合えとか言って、薬使って、無理やり始めたしな……。  ……多分、嫌うこともなく。素直にオレと居るようになって。  毎日のようにソラと居て、ソラを抱いて、一緒に寝てる。  で。  オレを心配して。  オレを抱えて寝るとか。 「なまいき――――……」  ぷに、と鼻をつまむ。  鼻で呼吸してたらしいソラは、「う」と声を出して、少ししてから、嫌そうに首を振って、ぷは、と息を吸い込んでる。でもそのまま、すやすや、眠ってる。  ――――……ぷ、と笑ってしまう。  ……愛おしいとか。  多分、今オレが感じてる、この、どうしようもなく守ってやりたいって気持ちが、それなんだろうなと思う。 「――――……」  あーあ。……ほんと。こんなのに、こんな気持ち、感じるとか。  すりすり、と頬に触れて、撫ぜていると。  ちょっと不快なのか、ソラの手がオレの手を、抑えた。 「――――……」  どうするのかと、見ていると。  きゅ、と握りしめて、そのまま、すー、と幸せそうに眠りを再開してる。  ……だめだ、これ……。  苦笑いしながら、ソラを抱き寄せて、腕の中に取り込む。   「かわいーな、お前……」  小さい声で、囁く。    何でそう思うかは謎だが。  ――――……確かにそう思ってる。  これを守るためなら、多少大変でも、全然気にならないとも思う。  危ないとこに連れてきてる自覚はあるし。  絶対守ると、決めてるし。  まだそんな深夜でもなく、結構寝るには早い時間だと思うが。  ソラを抱いてると、なんだか心地よくて。  ぐっすり眠れる気がする。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――…………んん……あれ…………」  そんな声に、目が覚める。 「ソラ……?」  船の甲板の下の部屋なので、朝日は入ってこない。  朝なのかは分からないが、結構寝た気がするので、良い時間なのかも。 「――――……起きたか?……」  目を開けると、ソラが腕の中からじっと見上げてきてる。 「どした?」 「……だって、オレがルカの頭抱いて寝たのに」 「ああ……途中でチェンジした」 「……」 「何? 不満?」  聞くまでもなく、めちゃくちゃ不満そう。 「たまにはいーなって思ってたのに」 「……まあ、堪能してから、チェンジしたぞ?」  クスクス笑ってしまいながら言うと、「たんのう……」とつぶやいて、複雑そうな顏をしている。 「こーやって抱いたら、幸せそうな顔してスヤスヤ寝てたけどな?」 「……そんな顔してないし」 「してたけど」 「してないし」 「……こっちのが安心するだろ?」  むぎゅ、とソラを腕の中に再度引き入れる。 「……別にしないし」  とか言いながら、特に動くわけでもなく、じっと腕の中にいる。 「……オレはお前が腕の中に居る方がいいけど。急に何があっても、守れそうな気がするから」 「――――……なんか、すごい、恥ずかしいこと普通に言ってるぞ、ルカ……」 「そーか?」  クスクス笑っていると、ソラの手が動いて、オレにぎゅっと抱きつく。

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