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「結婚」

 まっすぐな視線を見つめ返して、ルカを見上げると。 「まあ、怖かったよな、お前は。あんな戦いとか全然慣れてないんだろうし。それは分かってる」  ――――……からかわれるかと思ったら。  ルカは、まっすぐな瞳でオレを見つめて、普通にそう言った。 「戦う力も身に着けてきてないんだから当然だよな」 「――――……」  ルカの手がオレの頬に触れて、撫でながら、うなじに掛かる。 「それでも、あんなとこに、来てくれたんだよな」 「――――……」 「オレのため、だろ?」 「――――……うん……そう、かな」  曖昧に頷くのは、なんだかものすごく恥ずかしいから。  だってなんか。すごくルカのことが好きみたいじゃない?  ……まあ。死ぬほど、心配だったんだけど……。 「ソラ」 「うん?」 「ありがとな」 「――――……」  まっすぐ見つめられて、ルカに言われると、すごい照れる……。 「……うん」  頷くと、ルカはなんだかすごくジッと見つめてくる。  こんな風に近くに居ると、大体すぐキスされるような気がしてるオレは。  キスされることもなく、こんなに近くで見つめ続けていられると、逆に照れるんだってことに、今初めて気付いたような気がする。 「なあ、ソラ?」 「――――……?」 「前も言ったけど」 「うん」 「――――……結婚しようぜ?」  ――――……。  結婚……。結婚? ……つか、本気なのかな。 「嫌か?」  答えられないでいると、そう聞かれた。 「……嫌……ではない」  不思議なくらい、嫌ではない。  日本に居たオレが、突然男に結婚申し込まれたら、死ぬほどびっくりして、すぐに丁重にお断りした思うけど。  ……今この世界で、ルカとするなら。  ――――……別にそれはそれであり……というか。  ……いいかもと。思えてしまう。 「何か問題があるか?」 「……オレがもし、居なくなったら……」  言いかけたオレに、ふ、と笑むと。 「明日居なくなるって分かってるなら、今日結婚する」 「――――……」 「今夜居なくなるなら、昼間のうちに結婚する」 「――――……何それ……」  苦笑いしか出てこないけど……?  そう思っていると。 「結婚すれば、もうずっと一緒だろ。居なくなっても絶対探すから、お前も信じて待ってればいいし。その証みたいなものとして、結婚する」  なんだか本当に、ルカの言葉は。  まっすぐで、力強くて。  ――――……なんかちょっと、感動してしまう……。 「だから、しようぜ、結婚」 「――――……か……」 「か?」  ルカがクスっと笑って、オレを見つめる瞳を柔らかく細める。 「考えて、いい……?」  まっすぐ見つめ返してそう言うと、ルカは、すぐに頷いた。 「いいよ。考えろよ」 「うん……あのさ、ルカ」 「ん?」 「……ありがと」 「何が?」 「……結婚しようって言ってくれて。あと……いつも、色々全部……」 「――――……」  しばし見つめられて、それから、ぎゅ、と抱き締められて、頭をめちゃくちゃよしよしされる。 「ありがとって思うなら、早くOKしろよな?」 「――――……ん」  もう一度、ぎゅ、と抱き締められて。  多分、ルカは、オレを今は離そうとしたのだと思うのだけれど。  離れかけたルカの背中に手を回して抱き付いて、その胸に埋まる。 「も少しだけ……」  そう言うと、オレの背に手が置かれて、再び、抱き締められた。

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