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「オレから」

「……なるほどな?」 「何……?」  何だかルカがとってもニヤニヤしている。  もー、やな感じ。と思いながら、聞くと。 「のんきな奴ならソラじゃなくても、オレが気に入ってたって言いたいのか?」 「だってのほほんとしてるのがいいんでしよ。いっぱい居るよ、多分」  とっても面白くないけど。 「ソラって」 「……ん?」 「……ほんと、馬鹿だよな?」 「ぅわ」  聞き返すよりも早く、ルカはオレを魔法で持ちあげてしまうと、ボートの上に降ろした。  その後自分もボートに乗ってくると、ぐい、とオレを引き寄せて。  超至近距離で、オレを見下ろした。 「本気で言ってンの? のん気な奴なら誰でもいいとか」 「――――……」 「オレが、そんな感じでお前を選んだと思ってンの?」 「…………」  そう言われると……。  それは違う気がするけど。 「じゃあこれからもし、お前の世界から、大量にこっちにのんきな奴が送られてきたら、オレがそいつら全部と、そうなると思うのか?」  ルカの、カッコいい顔が、何だか少しニヤついて。  ずっと、オレをまっすぐに見つめている。   「……それは、おもわない……」 「だよな?」    すり、と頬を撫でられる。  ゆっくりゆっくり、唇が、触れる、と思ったら。  全然触れてこない。 「?」  ルカを見つめると。 「お前、オレが結婚しようって言ったの、信じてる?」  そう言われて、じっと見つめられる。 「プロポーズまでしてンのに、そんな馬鹿なことまだ言われるとか」  ほんと、しょうがねえなあ?と、ルカが呆れながら。 「……お前からキスしたら、許してやる」  …………それが言いたかっただけでは?  と思うような、楽しそうな笑顔で言って、ルカがクスクス笑ってる。 「ソラが思う、一番すごいキス、してみな?」  ……絶対それがやらせたくて、今までの流れだったのではと思ってしまうけど。しないと終わらなそう。  ルカの首に腕を回して、ぐい、と自分に引き寄せる。  少し開いた唇を重ねて、ゆっくり、舌を、ルカの舌に触れ合わせた。  最初は、皆が下見たら見えちゃうなあと思って、いまいち集中できないと思ってたけど、キスしてる内に、気にならなくなってきて。 「……ん……」  いつも、ルカから激しくされてばかりだから、自分からキスして、ルカが受け身なのは、変な感じ。  ……というか。なんか物足りない。 「……ルカ」  キスを離して、ルカを見上げると、ルカが、ん? と笑う。 「……ルカが、してよ」 「……いーけど」 「……けど、何?」 「――――……部屋行くか?」  すり、と頬を撫でられて、見つめられると。  ……何だか、ぞく、とした感覚。  ああ、なんかオレ……。  すっかり、そういう感じに……させられてるというか……。 「……行く」  答えると、ルカは、ふーん、と笑った。  ちゅ、とキスされて。  上向いた視線の先に、ミウが居て。 「あ」  あれいつの間に戻ってきてたの。 「ルカ、ストップ……」  ぱっと、ルカから離れると、「は?」とルカが怪訝な顔。 「ミウには見せちゃダメなの」  むぎゅ、とミウを抱っこして、そういうと、ルカは呆れ顔。 「はー。……分かった、じゃあ、部屋でな」  やれやれ、みたいな笑顔で言ってるルカの魔法で、甲板に戻された。

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