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「最初から?」

  「あれーお帰りー」 「もう海で遊ぶの、終わり?」  オレ達が甲板に降り立つと、もうこの時間ですっかり出来上がってて楽しそうな皆に笑顔で迎えられた。 「ただいまー」 「楽しかった? ソラ」  リアに笑顔で聞かれる。  オレはミウを抱っこしたまま、リアの隣にストンと座って、「すっごい綺麗だったよ」と話し始める。 「今度はリアも皆も、一緒に海入ろうよ」 「そうだね、皆で行こうか、こんな深い方の海なんて、なかなか来ないもんね」 「うんうん、そーしよ」 「ソラ、喉乾いてるなら、何か飲む?」 「うん、飲むー」 「キース、そこのお酒って弱い?」  リアが聞くと、キースが、「弱いけど、ソラには強いかな? どうだろ?」と言われて、「一口だけ」と言って手を伸ばして受け取った。ルカがオレを見てることにはっと気づいて。 「ていうか、お茶はないの?」  そう聞いたけれど。 「お酒しかない」 「皆、さすがって感じ……じゃあ一口だけ」  グラスに入れてる時、アランがルカの隣に立った。 「ルカ、もう良いなら、とりあえず船出すよ?」 「あぁ、動かしていい。陸まで何日かかる?」 「まあ来た時よりは、かかんないよ。敵探しながら蛇行してたからね。帰りは直線で岸に向かうし」 「それでも、どれくらいかかる?」 「んー……三、四日かな? ああ、でも、夜も走らせていいなら、もっと早いかも」 「良いんじゃねえの、夜も走らせて。何か危険、あるか?」 「んー……寝てる間は速度落として、なら大丈夫かな」  そんな話をしてるルカとアランを見ながら、オレは、入れたお酒を一口。 「あまい……これ美味しいね」 「こら、一口だろ」  ルカにすかさず取られて、飲まれてしまう。 「甘ま……」 「そんな嫌そうな顔するなら返してよー」 「お前寝るだろうが」 「……っ寝ないから!」 「絶対寝るだろ」 「寝ちゃダメなの? ソラ?」  リアが笑いながら聞いてから、「あそっか、そうだった」とか言って笑い出す。  そうだ、さっきルカがみんなに「連れ込む」発言してるから、バレてるのだった。 「…………」  そんな笑われると、すごく恥ずかしいけど。  むー、と黙ってると、リアがクスクス笑いながら、「ソーラ」と、頭を撫でてくる。 「かーわいい」  ああ、もう絶対酔ってる、リア。そう、思った瞬間。 「だから、リア、触んな」  ルカの手がオレの肩に回って、ぐい、と引き寄せられる。 「もー、ルカ、独占欲強すぎだからー! 撫でるくらい、全然いいじゃないね?」  ほんとにもー、とリアがムッとして見せると。 「そういや、オレ、ソラが来た最初の頃にキスしたけど」  ゴウが不意にそんなことを言い出す。  忘れてたのになんなんだ。と思うと。 「今あんな風にソラにキスしたら、本気でやられそうだよな、ルカに」  ハハッと笑って、何やら楽しそう……。 「あん時ですら、オレ、ルカに蹴られたような気がすっけど」 「蹴った記憶、あるな」  ルカが当然、みたいな顔をしてるし。 「あん時確か、ソラが来た翌日とかだったと思うんだよな?」 「……ああ、そうだった。ソラの服を買った後だったもんな」 「……うん、多分、そうだったけど」  ルカに聞かれて、頷くと。 「そういや、たった一晩過ごしただけで、ルカって既にソラにべた惚れって感じだったよなぁ」 「言えてるね」  ゴウの言葉に、キースもクスクス笑いだす。  ……べたぼれって言葉って。  かなり恥ずかしいなあ……と思いながら、隣のルカがどう思ってるのか気になって見上げると。  なんだかとっても、平然としている。 「まあ。最初から、触らせたくなかったのは、確かだからな」  と、なんだか偉そうに言い放つ。  ルカって。  ……恥ずかしいとか。ないのかな、全然そういうの、無いのかな??  聞かされているオレの方が恥ずかしいぞ……。

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