251 / 289
◆番外編 【*クリスマスパーティ*2021年ver】1/2
2021年。去年の12/25時点のルカとソラの関係で書いたクリスマスものです。
去年はまだふじょさんに投稿を始めてそんなに経ってなかったので、番外編を置いてもなぁ、と思ってのせていませんでした♡ 他のサイトで見たことがある方もいらっしゃるかもですが、おいておきます。
しばらくしたら、2021年の12月付近に移動させようと思っています。
※この話は「番外編」で、本編には何の関係ない物としてお読みください。
※クリスマス、なさそうな世界だから、ルカソラは書けないかなと諦めてたんですが、去年のBL大賞でルカソラが奨励賞を頂いて、なにかお礼したい♡と書いたお話でした♡
【*クリスマスパーティ*】
ある町に来たら。
町の真ん中に、もみの木そっくりな、大きな木があった。
「すごいー! でっかーい!!」
「?」
思わず声に出したら、皆に、何が? て顔をされた。
「でっかいクリスマスツリーみたいだから」
そう言ったら、何それ、と皆に不思議な顔をされる。
……無いんだ、クリスマス! それは残念!
子供達プレゼントもらえないじゃん!
って、本来の意味とは大分違う物欲的な方でしか考えられないオレは、そう思って、ひたすら、えー無いのー? つまんないじゃんーと言ってしまった。
「もう、この木、絶対すっごいクリスマスツリーになるのに。つまんないなあ、クリスマスないなんて……」
見上げながら言うと。
「何だよそれ。説明しろ」
ルカに引きずり寄せられて、何だか低い声で言われた。
「……??」
……怒ってますか??
ドキドキしながら振り返ると。
「無いからつまんねえとか、何なんだよ。無いなら作ればいいだろ。説明。早く」
……つまんないって言ったから怒ってるのかな。
この世界がつまんないって、言った訳じゃないんだけど……。
「クリスマスって言うのは……神様を信じてる人が、お祝いする日なんだけど……オレにとってのクリスリスは、綺麗なクリスマスツリーがあって、皆でパーティして、プレゼント交換して、ケーキとか美味しいもの食べて、イルミネーションが綺麗で……」
「イルミネーションって?」
「――――……あ、カジノって、ピカピカしてる?」
「ライトがすげーけど」
「そういうのの……もっと綺麗なやつ?」
「分かんねえな。ツリーってなんだ、絵に描け、絵に」
ルカがなんだか意地になって、分かろうとしてくる。
ゴウたち三人はおかしそうに笑いながらも、オレの説明や、へたくそな絵を見てる。
「……とにかく、あの木を飾って、美味いもんつくって、プレゼントを各自用意すりゃいいんだな?」
「この木の下でお祭りってことだよな? いーじゃんか、やろうぜ」
「町長に許可もらって、材料集めてくる」
「足りないものは私がよその町から集めるよ!」
ルカと、ゴウと、キースと、リア。順番にそう言って、何だかやけに盛り上がり始めた。
「ソラ、そのケーキってやつ、お前作れるか? ジェイんとこ行っていいから」
「あ、うん。分かった」
「リア。ソラとミウを、ジェイのとこ置いてこい」
「うん!」
「こっちの飾りは任せとけ、ソラ」
ルカはそう言って、笑う。そんな笑顔を見ながら、リアの側に立った。
ミウと一緒にジェイの町に運んでもらって、ジェイに作らせてもらえるか確認。そしたら、良いよって事になって。一緒にケーキを作ってくれることになった。
この世界の人達って。いつもだけど、ほんと柔軟……。
ジェイからOKが出たので、リアは後で迎えにくると言って帰って行って。オレはジェイとケーキを焼いた。
ルカ達が作ってるはずの飾りの元になっているのが。
オレのドヘタクソな適当なイラストだっていうのが。かなり不安ではあるけど。
まあでも、誰も本物を知らない訳だし、なんとなく綺麗になってたら、いっかーなんて思いながら、オレはケーキに専念した。
スポンジケーキをいっぱい焼いて、クリームいっぱいぬって、甘い実を並べて。まあ、もう、これで十分!ていう大きさのケーキが完成した。
ジェイも参加するっていうから、アランや、ジェイの友達を何人か呼んで。その皆と買い物。
皆とのプレゼント交換用に一つと。
何となく、もう一つ。ルカへのプレゼントも選んだ。悩んで悩んで決めた。
そうこうしてる間に、リアが迎えにきて、ミウとジェイやアラン達皆と、ケーキとプレゼントを持って、リアの魔法で飛んだ。
町の前に着地したら、リアがオレの目に手をかざす。
「え?」
リアがクスクス笑ってくる。
「ジェイ達ケーキ持ってってくれる? ソラは、目つむって来いって、ルカが言ってたから、腕組ませてね」
「え。そうなの?」
「ツリーの前までつれていってあげるから」
ちょっとワクワクしながら目をつむって。
リアの腕を頼りに、歩く。
「ソラ、まだ目ぇあけんなよ」
あ。ルカの声。
リアの手が外れて。ルカの手が、オレの背中に触れる。そのまましばらく歩いてから。
「じゃあゆっくり目ぇ開けろ」
「――――……」
ゆっくり、開けたら。
さっきの、でっかい緑の木が。
めちゃくちゃ綺麗に光ってて。ナニコレ、どうやってるの。と思ったら。
「ここら辺、色んな色に光る虫がいるんだよ。それを町の皆が捕まえてきて、カゴごとぶらさげた」
あ。ほたるみたいな虫? すごい、虹みたいな色。
綺麗……。
「終わったら逃がすから」
ルカがクスクス笑って、オレを見る。
「一番上の、星はどうやって光ってるの?」
「さあ。絵を見せたら、町の電気職人がすげえ苦労して作ってたぞ」
「そうなんだ……」
うわー。ちゃんと、ツリーになってる。
……すごい。
「こんな感じか?」
「うん。知ってるツリーより――――……綺麗かも……」
そう言うと、ルカが、すごく嬉しそうに、鮮やかに、笑う。
木の下には、これでもかというほど、テーブルが並んでて、やまもりの食べ物や飲み物が並んでて。
「町の人間にそれぞれ料理を作らせて、テーブルと料理一品、大盛りで持ち寄って参加ってことにしたからさ。すげえ量だろ」
「うん。……すごい」
「これでいいんだろ、クリスマスパーティ」
ルカや、ゴウたちや、周りの人達がすごく楽しそうで。
――――……なんだか。感動。
「…うん。なんか――――……ありがと……」
泣きそうになった所で、顔上げさせられて、キスされた。
ああもう、全員見てるようなとこで!!
……泣かずに済んだといえばそうだけど。
その瞬間。音楽が鳴り始めて、そっちを見ると、楽器を持って、演奏が始まって。クリスマスソングではないけれど。
「完璧?」
ルカがクスクス笑ってオレを見る。
「うん、完璧! ……っていうか、今までで一番、すごいかも」
とにかく、町全体とか。
大がかりな点で評価するなら、圧倒的に、一番だ。
「じゃあ始めようぜ」
ルカの声でパーティが始まって。
大騒ぎ。
全員で回すプレゼント交換もして。変なものが出て文句言ったり、イイのが出て羨ましがられたり。そういうの、どこの世界でも一緒なんだなあ、なんて思うと、楽しかった。
ともだちにシェアしよう!