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「空が綺麗」

   ベッドで目覚めて、ルカに色々食べさせてもらった後、部屋を出て甲板に上がった。 「あ、おかえりー」  一番にリアがオレに気づいて、そう言う。 「お疲れー」  ゴウのセリフには、一瞬、お疲れって……と微妙なものを感じながら、とりあえずキースやアランの顔も見ながら、ただいまーと返した。  すっごく寝てた気がするんだけど、まだ空は少し明るくて。  薄暗くなり始め、というのか。紫やオレンジや黄色、たくさんの色が混ざった空を見上げながら、なんとなく、船の壁に寄りかかって座った。 「すっごいきれー、空」  言うと、リアが、そうだよね、と笑う。  昨日まで、天気良くなかったもんな。魔物のせいだったのかな。  初めて、こんなに、綺麗な空見れたなあ……と、ぼー--っとしてると。  遠くから、ほよほよとしたものが飛んでくる。 「あ。ミウだ」  リアも気づいて、クスクス笑う。 「ソラが居なくなってから、どっか行ってたのに。分かったのかな、戻ったの」  あ、居なくなってたんだ、なんて思いながら。  ゆっくり飛んで来て、オレの腕の中に入ってくるミウを、抱き締めた。 「どこ行ってたの?」  ……聞いても、返事は返ってはこないのだけれど。  でも、嬉しそうな顔をして腕の中に居るから、もうとにかく可愛くてしょうがない。 「ルカは?」  聞かれて、「お酒取りに行っただけだから、すぐ来るよ」と答えたところに、ルカが現れた。  当たり前みたいに、オレの隣にきて、すぐ近くに座る。 「……どした?」  ううん、と首を振りつつ。  なんとなく、ふ、と笑んでしまう。  ミウが腕の中に居て、ルカが隣に居て、その周りに、皆が居て。  それにすごく慣れてる自分が、やっぱり今でも不思議。しかも、こんなでっかい船に乗って、海のどまんなかみたいなところに浮かんでる。  なんか皆、いつもより静か。  海のど真ん中の船の上に座ってると、空しか見えなくてかなり圧倒される。  なんとなく皆もそうみたいで。  静かで、穏やかな時間が流れる。 「……だんだん暗くなってきて、星も出てきたな……」  アランがそんな風に言って、ルカとオレに視線を向けた。 「お前ら昼食べてないし、早めに夕飯にする?」 「つーか、お前らも飲んでただけだろ?」  ルカが笑いながらそう言うと、まあそうだけど、とアランが笑う。 「誰かさんたちがなかなか帰ってこないからなんとなく、ここに居続けちゃったんだよなー?」  ゴウのセリフに、オレが詰まってると、ルカは苦笑い。 「意外と早かったろ?」 「早くはねーし」  ゴウに突っ込まれて、ルカは可笑しそうに笑ってる。 「ソラ、酒飲みたいか? もう飲んでもいいぞ」  とか言ってくる。もう飲んでもいいって……苦笑いになっちゃうけど。 「ごはん食べてからにする」 「悪酔いしそうか?」 「うん、なんかそんな気が……アラン、ご飯、そろそろつくる?」 「そうだな。何か作るか」  そう言われて、立ち上がる。 「作ってくるね」  ルカに言うと、ルカは、ん、と頷く。 「手伝おうか?」  リアがそう言うので、アランを見ると、アランはにっこり笑って。 「そんな大したもの作んねーから大丈夫。運んでほしい時、呼ぶ」 「ん、分かったー」  そのやり取りのあと、ミウをほわ、と空中に飛ばしてから、オレはアランと下に降りた。 「体平気なの?」 「……平気だってば」 「ルカって激しそうだもんなー」  クスクス笑われる。  ……確かに。  ……オレは男とは経験ないけど。……オレが男として女の子としてたよりは確実に大幅に、激しすぎる……。  …………オレとルカを比べるのがそもそも間違ってるのかな。  オレは草食系? でもまあちょっとは興味ある系……? なんだそれ。  ……でもって、ルカは……超がつく肉食系、だよな……。  うん。  比べる対象にするのが間違ってる。うんうん。 「ぷ」  知らず頷いてると、アランが笑い出す。 「なに、激しいってことに頷いてンの?」 「ち、ちがうし!!」  いや、違うってこともないんだけど、今、オレはそれに頷いた訳じゃないしっっ!!  アランの前で、ブンブン手を振ってると、アランは面白そうに笑う。

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