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14 初夜らしい初夜

 徐々に寒さが和らぎ、すっかり春めいてきた。健のデスクには、一輪の桜の小枝が挿してある。数日前に侑が帰り道で拾ってきて、プレゼントしてくれたものだ。こまめに水を替えているおかげか、いまだ散らずに咲いている。健気に咲くこの小さな花が視界の隅に入るだけで、大変仕事が捗る。   「ただいまー!」    侑の元気な声と、バタバタとうるさい足音が響く。おかえりと言う間もなく、侑は健の胸に勢いよく突撃した。うっ、と呻きながらも、健は侑を迎え入れて頭を撫でる。   「えへへ、ただいまぁ、にーちゃん。会えなくて寂しかったよ」 「昨日も会ったでしょ」 「でも今日は夜まで一緒だもん。えへ、にーちゃんもうれしい?」 「嬉しいよ」    侑は機嫌よく笑い、頬をすり寄せて甘える。以前よりも甘えん坊になった気がする。そんなところも愛しいと思う。   「そーだ。あのね、にーちゃん。今日はおれ、にーちゃんにお願いがあってね」 「なに?」 「おれね、にーちゃんのせーし、ほしいんだ」    何でもない顔で、とんでもない発言が飛び出した。健は呆気に取られ、思わず訊き返す。   「……今、何て?」 「だからぁ、にーちゃんのせーし、おれにちょうだい」    やはり聞き間違いではない。さっきまでの無邪気さはどこへ消えてしまったのか。健は頭を抱え、しかし結局そのまま夜を迎えてしまった。    侑は裸になってベッドに潜り込み、健にもパジャマを脱ぐよう急かす。   「……全部脱がなきゃだめ?」 「だめだよぉ。だってこういうのって、ちゃんと裸になってくっついてなきゃいけないんでしょ?」 「……そういうの、どこで覚えて……」 「外国の映画で見たことあるもん。あと学校の本にも描いてあった」 「今時の子はマセてるね……」    なんて言っている場合ではない。侑に見られないよう先に灯りを消してから、手早く脱いで布団に入った。   「わぁあ、にーちゃんが来たら一気にあったかい」    恥じらいよりも断然喜びが勝っているようだ。侑は健に抱きついて腹の上に乗り上げ、うつ伏せの状態で頬を胸に押し付ける。素肌がぴったり密着してはいるのだが、どちらかといえば犬猫がじゃれつくような感じで、いやらしい雰囲気は薄い。   「えへへ、こんな風にするの、初めてかも。いつもはわざわざ服脱がないし、炬燵とかソファでしてたもんね。あ、裸になった時もあったけど、あれはお風呂だし……こうやってちゃんとしたら、おれも大人になれるのかな。ね、にーちゃん」 「……侑、こっち向いて」 「え? ぁ……」    焦れて先手を取った。唇を奪う。侑は驚いたように顔を上げようとするが、頭を押さえて抱き寄せる。下から突き入れるようにして舌を捩じ込み、上顎の敏感なところをなぞる。腰がぴくぴく震えているのがダイレクトに伝わってくる。   「にっ……んむ……ふ……んん、ゃ……」    侑の小さい舌を絡めて、優しく吸う。一際大きく腰が跳ねる。唾液がだらだら垂れてくるが、余すことなく飲み込む。特別甘いということはなく、ただ侑の味がした。   「っ……ゃ、ん……にぃひゃ……っ」    口を離すと唾液が糸を引いてきらきら光る。侑はうるうると瞳を潤ませて、少し困ったような顔をする。   「にぃちゃ……なんで、ちゅーするの」 「……したいんでしょ?」 「で、でも……ちゅーしたせいで、おれ、ちんちんがへんだよ……」 「そのためにチューしたんだからいいんだよ」 「そ、そうなの?」 「だってこうしないと僕の……出ないから」    ちょうど下腹辺りに跨っている侑の尻を触る。小ぶりだがしなやかで、しっとりと汗ばんでいる。産毛さえ生えていないすべすべの肌が手に馴染む。   「に、にぃちゃ……? お、おしりになんか、ぬるぬるしたのが……」 「わかる?」 「んぁ……も、もしかしてこれ、にぃちゃんの……?」    先走ったものを、小ぶりな尻の(あわい)に塗り付ける。下から突いて、谷間を行ったり来たりする。侑の腰も自然と反り、尻を押し付けるような姿勢になる。   「こ、これ……っ、せーし? にぃちゃんの、せーし……?」 「まさかぁ。こんなすぐ出ないって、知ってるでしょ。量だってもっと多いよ」 「ぁ、そか……じゃあこれ、なに……?」 「気持ちよくなると出てくるんだよ」 「そうなの……? だ、だからおれ、気持ちよくなってるの……?」 「それは……どうだろうね」    先走りをローション代わりに、小さな蕾を指でこじ開ける。侑の腰が逃げるが、押さえ込んで捕まえる。蕾は前に触った時と変わらず窮屈で、中指の半分までしか入らない。侑は顔を伏せて、健の胸にしがみつく。   「やっ、や、にぃちゃ……なんで……」 「だって、必要でしょ」 「そ、なの……? お、おしり、さわんないと、せーしでない……?」 「侑が気持ちよくなってくれたらすぐ出るよ」 「おれが……? なんで……」 「なんでも。ほら、おしり好きでしょ」    優しく中を掻き回すと、腰がビクつく。   「ぅ、すき、だけど……ち、ちんちん、へんになるからぁ……」    現に侑の性器は芯を持ち、自覚しているのか無自覚なのかわからないが、ゆるゆると腰を振って健の腹に擦り付けている。   「ちんちん、気持ちいいね」 「き、きもちい……んっ、きもちくなっちゃうよぉ……」 「それでいいんだよ。好きだよ、侑」 「んぅっ……」    きゅ、と後ろが締まった。軽く収縮して指を食む。更なる快楽を求めて腰が動いている。   「……侑、かわいい。好き」 「ん゛っ……」    また後ろが締まる。さっきより小刻みに収縮する。侑は声を抑えたいのか、指を口に当てている。   「侑、いっぱい好きだよ」 「んぅ゛……っ」 「ねぇ、好きだよ。侑も言ってみて」 「ん゛ぅ……す、き、すき、にぃちゃ……すきっ」    自分で言った言葉にさえ感じている。全身をびくびく震わせる。明確な目的を持って腰が揺れる。   「やぅっ……ゃ、にぃちゃ、やぁ……」 「好きだよ」 「んぅぅ゛……だめ、だめ、へんになっちゃう……」    前も後ろも擦り付けて善がる。こんなにいやらしいものを見てしまっていいのだろうか。無垢なるものをこれほど乱れさせて、許されるのか。――許されるのだ。自分だけは許されている。ここは健だけの領域である。そう感じて、たっぷり溜め息を吐く。   「本当、かわいい」    半身を起こし、二人の体を入れ替える。侑の髪がふわりと枕に流れる。その上に、健は膝を立てて覆い被さる。侑の目が熱を孕んでいる。    手を握り、唇を重ねた。皮膚の表面を優しく舐めるように、唇から頬、顎、首筋へと移動していく。胸元へと来て、鎖骨、肩、小指の爪の先ほどの乳首を舐める。侑は戸惑ったような声を上げる。   「に、にぃちゃ……? くすぐったいよぉ……」 「嫌?」 「やじゃない、けど……だって、なんでそんなとこ……おれ、おっぱいでないよ……?」 「出なくてもいいんだよ。こういう時は、こうするもんなの」 「おっぱいなめると、せーしでるの……?」 「……そうだよ」    どくん、と下腹部が脈打つ。侑にはあまり悟られたくない。   「じゃ、じゃあ、どっちもなめていーよ……はい、いっぱいなめて、にぃちゃん」    侑は気前よく胸を張る。全くの未発達で、今後も成長することはないであろう、薄くて小さくて平べったい乳首だ。けれど桜の花によく似た淡いピンク色で、表面もすべすべしている。前歯で挟んで甘噛みすると、乳頭がわずかに固くなる。   「えへへ……にぃちゃ、赤ちゃんになっちゃったの? そんなにしても、おっぱいでないのに」 「でも、おいしいよ」 「うそだぁ、おいしいわけないよぉ」    性感を得るには幼すぎたか。しかし同時に性器を弄ると状況は変わる。侑は余裕のない表情に戻り、喉を反らす。もちろん喉仏なんてない喉だ。   「ち、ちんちんはだめだよぉ……きもちいからぁ……」 「ねぇ、もっと気持ちいいのしてみる?」 「も、っと……?」 「ちんちん、もっと気持ちよくなってみたくない?」 「そ、そんなの、できるの……?」 「できるよ」    侑の内腿に両手を当て、ぱっかりと左右に割り開く。無防備に剥き出しになった中心が、切なげに震えている。侑は真っ赤になって顔を隠し、指の隙間から健を見る。   「な、なんかやだ……はずかしいよ、これ……」    脚を閉じようとして太腿に力が入る。健はそれを押さえ込み、中心で震える親指大の突起を口に咥えた。途端、びくりと侑の腰が浮き上がる。   「ひぃ゛っ!? ぁ、あっ! ひ、なに、?! なにこれぇっ! やだぁあっ!」    侑はじたばた暴れるが、力ずくで押さえ付けて開脚させる。ちょうど一口サイズの突起を口の中で転がし、舌で全体を包み込むように舐める。棒付きキャンディでも舐めているような感覚だ。毛は生えていないし、余計な皮もない。つるりとしていて舌触りがいい。心なしか甘いような、いや、やはりただの侑の味だ。   「ぁ゛ひっ、あ゛っ!! やだっ、やぁっ、! ひっ、やっ、ぁあ゛っ!!」    侑は頭をぶんぶん振って悶える。腰が猛烈に上下に揺れる。それでも離してやれずに一層深く咥え込み、口内を真空にして強く吸い上げる。するともう泣き叫ぶような声が響き、腰はさらに激しく跳ね上がる。口の中のものもひっきりなしに痙攣している。ぶるぶるぶるぶる、かわいそうなくらい震えている。   「ひぁ゛っ、ひ゛っ、ひぅ゛ぅっ……っ、もぉや、やらぁ゛っ、あ゛ッ、しぬ゛っ、しんじゃう゛ぅっっ!!」    過呼吸気味に喘ぐ。もはや抵抗はなく、自ら脚を開いて腰を突き出す。健がしゃぶるのに合わせて腰がくねる。涙をぽろぽろ流しながら、幾度目かの絶頂を迎える。    いつしか侑の下腹部は唾液でべっとり濡れそぼり、枕カバーも涙と涎でくしゃくしゃになり、シーツも湿って皺だらけになり、そうなってからようやく健は顔を上げた。侑は大股を開いたままぐったりして、ひぃひぃ喘いでいる。余韻で全身が小刻みに痙攣している。   「侑……もう、いいよね」 「ふぇ……?」 「精子、ほしいんだよね」 「あ……うん……ほしい……」    侑の両脚を持ち上げ、秘密の蕾を割り開く。ここもまた、余韻でひくひく引き攣れている。かなり前から既に逞しく聳え立っていたものを、健はゆっくりとそこに宛がう。先端が触れるだけで、まるで心臓を握ったみたいに侑の温度を感じる。少し動くとぬるりと蜜が引いて、目眩がするほどいやらしい。   「に、にぃちゃん……?」    けれども、それ以上奥を知ることはできない。侑はまだ子供で、体は幼くて、尻も小ぶりで、指がようやく入るか入らないかというところなのだ。こんな狭いところに無理やり肉棒を挿したりしたら、どうなってしまうかわからない。壊してしまうかもしれない。    脳が茹だるほど興奮していた健だが、ここで唯一冷静な判断を下した。侑の脚をきつく閉ざし、太腿の(あわい)に肉棒を埋める。諸々の体液のおかげで滑らかに入る。   「な、に……? なに、してるの……?」 「足、締めてて」 「……こ、こう?」    内腿に力が入り、肉棒を締め付ける。   「ん、上手。気持ちいい……」 「ほ、ほんと? おれ、きもちい?」 「気持ちいいよ。かわいい」    すべすべの柔肉がぴったり密着し、隙間なく包み込まれる。豊満な肉体ではないから、その分侑との距離を近くに感じる。緩やかに腰を前後させれば、もうほとんどセックスと変わりない。   「んにっ……に、ちゃん……これ、ち……ちんちん、が……」 「僕のと擦れて、気持ちいいでしょ」 「ひぁ、……へ、へんだよぉ、これ……っ、さっきのとも、ちがうし……」    先ほどあれだけ達したというのに、侑の性器は再び芯を持ち始めていた。芯を持ったもの同士擦り合わせると、その弾力と熱がよく伝わってくる。侑は涙ぐみ、縋るようにシーツを掴む。   「や、やだぁ……ちんちん、ぐりぐりしないでぇ……」 「こうしないと精子出ないよ」 「で、でもぉ……にぃちゃんのちんちんが……」 「僕のが、なに?」 「だ、ってぇ……か、かたい、んだもん……」 「かたいだけ?」 「あと、お、おっきくって……、ごつごつ、ぬるぬる、してて……っ」 「それで?」 「だ、だから……き、きもちくなっちゃう、からぁ……」 「僕のちんちんでぐりぐりされると、気持ちよくなっちゃうんだ。かわいいね」 「ちがっ……だって……だって……」    侑は恥ずかしそうに目を伏せる。健は体重をかけて侑の性器を圧迫しながら、長めのストロークで腰を往復させた。びくん、と侑の体が跳ねる。   「あ゛っ! それ、それやだっ……にぃちゃ……っ!」 「僕は好きだよ。こうやってくっついて、気持ちいいとこぐりぐりすると、侑のことどんどん好きになる」 「あぅぅ……そ、そんなの、おれだって……!」 「だから、やじゃなくて、好きとか気持ちいいとか言ってほしいな。そしたら僕も嬉しいから。ね、侑、好きだよ」    ぴく、と密着しているところが反応する。   「お、おれも……だいすき……にぃちゃん……」    健は徐々にピストン運動を速めていく。濡れた亀頭で、侑の一番敏感なところを激しく擦り上げる。滑らかな会陰から、ハリのある玉、短い裏筋を通り、皮を被った先端にキスをする。先走りを塗り付けるようにして突き上げ、腰を引き、また突く。肉と肉のぶつかる音や、粘着いた水音が微かに聞こえ、素股なのに挿入しているように錯覚する。    侑もまた、突かれる度に艶めかしい声で啼く。昼間はランドセルを背負っているなんて想像もできない。律動に合わせて声が勝手に漏れてしまうのに慣れないのか、わずかな戸惑いも含んでいる。   「にっ……あっ、あんっ、にぃちゃ、ぁッ……、すきっ、んッ、すきぃ、にぃちゃっ、すき、すきッ、にぃちゃ……っ」    喘ぎながら、一所懸命に好きと言う。その健気さが堪らない。   「侑かわいい……好きだよ……っ」 「にっ、にぃちゃ、ちゅ、したいっ……っ、ちゅー、して」    上体を起こし、頭を持ち上げてキスをせがむ。健も身を乗り出し、侑を抱き寄せて唇を寄せる。小さな体をさらに折り曲げて圧迫するような体勢になってしまうが、お互い舌を絡めるのに夢中で、余計なことを考えている余裕もない。   「……んぁッ、ま、って、にぃちゃ、まっ……、んぅぅ、くる、くるよぉ、きちゃうぅっ」 「いいから、キスして」 「んむ、……ん、んんぅ゛――ッッ!」    内腿がきつく締まり、何も出せない性器がびくびく痙攣する。ほとんど同時に健も達した。侑の薄いお腹に精がかかる。しばらくキスしたまま抱き合って、息を弾ませていた。    白いどろりとしたものが、侑の下腹部をべっとり汚している。脚の付け根や幼い突起、おへその中にまで白濁が溜まっている。それを侑は指先に取り、においを嗅ぐ。   「ちょ、嗅がなくていいから」    侑はぼーっとしたまま、指先をぺろりと舐める。   「……やっぱり、へんな味」 「なら舐めないで……」 「ん……でもこれが、にーちゃんの味なんだね」    嬉しそうににこりと笑う。   「これ、おへそに入れたらいいのかな?」 「え? いや、そんなことしたらお腹壊すよ」 「そーなの? じゃあ、このまま中に滲みてくの?」 「いや……こういう仕方もあるんだよ」 「? ほかにもやり方あるの?」 「いや、えーと……」 「ねーぇ、教えてよぉ」 「と、とにかく、今はこれで十分でしょ。ほら、じっとして」    ティッシュを複数枚取り、侑のお腹を綺麗に拭く。あーあ、と残念そうな声を出す。   「せっかくのにーちゃんのせーしが……」 「別にもったいないとかないでしょ。こんなの、いくらでも出るんだから」 「そしたらまたおれにくれる?」 「……うん。いい子にしてたらね」 「えへへ、いい子に決まってるじゃん! おれもう大人だもん!」 「またそんな生意気言って」    頭を優しく撫でる。ふわふわの髪が汗ばんで、しっとりしていた。    裸のまま、くっついて寝る。寒くないよう、毛布をしっかり被る。侑の息が胸に当たってくすぐったい。   「んふふ、なんで裸で寝るのぉ? 大人って変だねぇ」 「だってこうしてるとあったかいし、気持ちいいでしょ」 「きもちいい?」 「好きな子とくっついてると、嬉しいでしょ」 「うん……そうかも」    侑は頬をすり寄せて甘える。   「にーちゃんのにおいするし……おっぱいもあるしね」 「おっぱいはないよ」 「おれよりあるもん。大人になったらみんなそうなるの?」 「ちょっと鍛えればなるよ」 「ふーん……ねー、だっこ」 「してるじゃん」 「ちがうのぉ。もっとぎゅうってして」    腕枕をし、抱き寄せる。ぎゅうってしてあげると侑は満足そうに顔を綻ばせ、そのうち気持ちよさそうな寝息を立て始めた。

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