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雪虫2 22
蓋をして見ないようにしていた記憶を辿れば、小さい頃の記憶は豊かなものだった。
「…………まぁ そう、ですね。二、三才くらいまでですけど」
「覚えてるんだ!」
「え、まぁ。記憶力は良い方なんで……物覚えが良くても使うとこないしなーって思ってたけど、色んなことを細かく覚えて雪虫に教えてやれるから良かったって思ってる」
「アルファのなんとなく行動になるのかなぁ、ソレ」
「な……?」
きょとん と聞き返してしまってから、しまった!と口を押えた。
この手の話をすると長いんだって忘れてた……
「アルファのなんとなく行動って言うのは、理由は良くわからないんだけどなんとなくした方がいい気がしてしちゃうって言う行動のこと」
「いやいや、人の行動に全部が全部理由があるわけじゃないですか!」
「そうなんだけど、アルファがなんとなーく取っておいた方がいいような気がした資格が、将来番になったオメガの役に立つ資格だったり とか。なんとなーくできるようになった特技が将来の番にお役立ちの特技だったりとかするって話」
医者の癖に、そんな眉唾話を言い出すんだからこの人は何を考えているんだかわからない。
「偶然でしょ?」
「偶然もあるだろうけど、それがアルファに多いってなればそこに何かあるんじゃないかって思うだろ?」
胡乱な表情で睨んでやれば、ははは と笑って返される。
「番との絆って奴だと思わない?」
「んな、誰と番になるかなんてわかんないじゃないですか。それこそ運命の番でもないかぎ り 」
自分の言葉にはっとしたオレを、瀬能が面白そうに指差す。
「だから、アルファとオメガの番の絆は番になる前から存在しているんじゃないかって話さ」
瀬能の言いたいことはわかるけれど、もうそこまで考えてしまうとそれは眉唾を通り越してただの妄想か、もしくは空想話だ。
「それが遺伝子のなせる業なのか、それともそう言った物理的な何かに影響されない超自然的な何かに依るものなのか……っと。まぁただの与太話だよ。話を戻すと、人の行動の端々でその人物の正体が分かるって話さ、癖のない人間なんていないからね、その癖って言うのは今まで生きてきた生活が根底にあるから、無意識に出る。そう言う所にいろいろと透けて見えるわけさ」
話がイイ感じに終わったところで退散しようと思っていたのに、瀬能は隙を与えずにそのまましゃべり続けて……
席を立つタイミングを逃して「はぁ?」と曖昧な相槌を打つ羽目になった。
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