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雪虫2 27
何か援護射撃をって顔をされたけど、スルーするに決まってる。
「オレは雪虫の新しいおやつでも作ってくる」
そう言うと恨みがましい目で見られたけれど、オレには関係ないんだってば!
「何?今日は何作るん?」
「あー、果物のゼリーです」
雪虫の食事の傾向的に、口当たりのいいものの方が食いがいい気がするから、いろいろな果物を入れたゼリーを作ることにした。
飾り切りとやらも調べてきたし、見た目が華やかなら少しでも多く食べてくれるかもしれない。
「やーえらいなぁ!見に行っていい?」
「えっでも、二階には 」
「そんな急がんやろ?先生」
直江と話をしていた瀬能は、急に話を振られたにも関わらず、焦ることなくにこやかに「大丈夫だよ」と返してくる。
オレが散々、みなわが苦手だって言っていたのを知っているはずなのに……
さっき援護に入らなかったからか、セキはつーんとそっぽを向いてしまっていて助けにはならなさそうだ。
「大神くんから到着に一時間ほどかかるって連絡もあったし、別にいいよ、ゆっくりしてて」
「ぐ 」
別に大神が実験に参加するわけではないんだから、遅れようと早かろうと問題ないだろうに!
あのおっさん、暇なのかしょっちゅうしょっちゅう来やがって!セキが発情期に入らないかワクワクしてんだろうけど!
まぁ最近は何時に到着するって教えてくれるからいいけどさ。
「やけ、お菓子作るん手伝ぅたろか?」
にっこり言われて……断ることができなかった。
「セキも一緒に来ぃや、どうせ暇やろ~?」
「えっ俺は雪虫のとこに 」
「そんなこと言うてー。料理できんのちゃう?」
からかうような物言いは先程セキに突っかかられたことに対してのやり返しなのかもしれない。
にこやかに返していたように見えたのに、実はセキの態度に苛立ってたのか?
「あー、そっかぁ大神さんは手料理の一つも食べられへんのんか、かーわーいーそー」
どっちにしろ、オレを挟んでケンカしないで欲しい……
ぎりぎりぎり と音がしそうなほどの強さでみなわを睨みつけるセキからじりじりと距離を取ろうとしたのに、首根っこを掴まれて「やるよ!」の掛け声と共に台所へと引きずり込まれてしまった。
スイスイと手慣れた様子でリンゴを花形に切っていくみなわの隣でセキが震えているのを見て、逃げたいなぁ……なんて思いながらこの空気を壊してはくれないかとリビングにいる瀬能に視線を送る。
……けど、何を考えているか全然読めないすこぶるいい笑顔を返されただけで終わってしまった。
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