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collector 1
拘束と言う本来の目的そぐわないほどの過度な装飾を施された手枷が絹のシーツを叩く、それを追うように汗が飛び散らせながら呻き声が微かに響いた。
官能的な香の焚きしめられた部屋の奥で、白い肢体が体の内側からの熱に灼かれるのを耐えるようにのたうつ。
傍で、一人の男がそれを見て狡猾そうな双眸を楽し気に歪めると、勿体ぶった態度で形の良い唇を開いた。
「──── 一言、言えば良い」
男の流暢な言葉に、黄金の枷をつけられたΩはぐっと唇を噛んで首を横に振る。
「 はは」
その様のどこがおもしろかったのか、男は軽く笑うと傍らで影のように控えていた侍従に空の盃を差し出す。
赤い血のような液体が注がれるのは、枷と同じく使用するには華美過ぎるほど装飾が施された器だ。
美しいブロンドの髪を持つ少年が酒を注ぎ終わると、戯れるように手入れのされた指先を伸ばして侍従の髪に触れ、そして首元を撫でる。
そこには細い金の糸で編まれた首輪があり、その隙間から火傷ともケロイドとも言えない独特の傷跡がつけられているのが見える。
従順に視線を伏せて従っていた侍従だったが、そこに触れられる瞬間だけは躊躇うように紫色の瞳を震わせる。
「少し、先達として手伝ってやったらどうだ」
疑問形でない問いかけは侍従への命令も同然だ。
「承知いたしました」
そう囁くように答えると侍従は滑らかな動きでΩのいる寝台に上り、裸も同然の薄布の脱ぎ捨てる。
滑らかな乳白色の肌とブロンドの髪、そしてその隙間から見える朝焼けの紫色の瞳に見下ろされて、Ωはヒクリと体を震わせて逃げきれもしないのにシーツの上を這うように動く。
寝台と言ってしまうにはあまりにも大きなそこは逃げ惑うには十分な広さはあったものの、腕同様に黄金の豪奢な枷で拘束された足のためか、それとも腹の奥から噴き上がるような熱のせいか、逃げることは叶わなかった。
力仕事を知らない指先がΩの肩に触れた瞬間、喘ぐような声が鋭く部屋の空気を切り裂く。
「や ちが、これは っぁ、こないで 」
Ωがにじるように逃げると、その下半身から漏れだしたはしたない液体が軌跡のようにシーツに染みを作る。
「抗っても無駄ですよ、早く楽になった方がいい」
「なっ いやだっ」
カチャカチャと枷の嵌った腕を振る度に小さな音が響くけれど、それはなんの盾にもなりはせず……
「ぅ、んっ うあっ」
細い指が肌を辿る。
発情から来る発汗で水でも被ったかのように濡れた肌は滑りがよく、侍従の指はまるで踊るように見える。
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