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ひざまずいてキス 1
産まれは兄弟の真ん中だった。
どうにも影が薄い三兄弟の真ん中。
親の期待を一身に背負う兄貴と、少し歳が離れて産まれた弟と……そんな二人に挟まれているのがオレ、相良大我 だ。
だいぶヤンチャをした と自分でも思うが、別に親の気を引きたかったとかそう言うのではないと思う。
上と下に忙しい両親に代わり、じいちゃんが俺の面倒を見てくれたから。
じいちゃんに幼い頃から仕込まれたお陰でケンカでは負け知らずだったし、族なんてのも率いてみたりしていい気になっていたのはいい気になっていたんだろう。
実際、俺強いし。
女の脚に剃り残したムダ毛を見つけてついそれを目で追うと、それが気に食わなかったのか柄シャツがやけに似合うヤクザ……はもう言わないのか、ちょっと年の割にやんちゃでごつい外見のおっさんが傍のテーブルを蹴り上げた。
「話聞ぃてんのかっ!」
ふ と呆れた溜め息を吐いてやれば、男はますます怒ったようで、俺じゃなくてもじもじと下着姿で座っている女の方が怯え始める。
名前はー……覚えてない、印象に残ってないし、覚える気もないし。
乳が大きいのは覚えている……と言うか、現在進行形でぽよんぽよんしてくれてて見ていて楽しい。
こねくり回して指が埋もれるのも好きだし、跳ね返してくるような感触もよかった。
せっかく堪能してたって言うのに……
「あー……」
女が誘って来たから なんてベタなセリフを言った所で、この男が納得してくれるかどうか分からなかったし、ムスコがお世話になった手前、女を突き出すのも気が引ける。
「じゃあ、やる?」
「はぁ⁉」
「殴り合って勝ったらさぁ、見逃してよ?」
さっと真っ赤になった男に向かって、ひひ と笑ってやると額に血管を浮かせて男が掴みかかってくる。
そうなればもう、こっちのもんだ!
その男の写真を見せられて最初に思ったのはスーツを着たよく躾けられた奴。
いや、犬だ、犬。
何事にも動じないような平然とした顔で、ただただ面白味もない表情でご主人様の後ろをついて歩いている犬。
それで褒められるって信じて疑ってないし、それが一番キモチイイって思っている面だ。
生真面目なつまらない、イケすかない野郎だ。
どちらにせよ、興味のかけらも出ないような奴だった。
「大神の忠犬 じゃないな、牝犬か」
はは と笑うおっさんに視線を向けると、一部では有名な話だと笑った。
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