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ひざまずいてキス 2
名前は、『 I 』
いかがわしいヒミツクラブの人気の男娼だった と。
それを大神がだいぶ強引なやり方で引き抜いて以降、常に側に置いていると言うのだから関係性も噂になると言うもので。
大神に睨まれるのが怖くて公で言う人間はいないと言うが、昔を知っている人間はそれなりに噂する。
「 はぁ?くっだらね」
思わずそう漏らした俺に、おっさん……いや、大場組……いやいや、大場商事のお偉いさんが苛ついて傍の事務机を蹴り上げた。
女の部屋でもそうだったが、こいつは何かを蹴り上げずにはいられないらしい。
ジャガイモみたいにベコベコに凹んでいる引き出しを眺めて、面倒なことに巻き込まれたことに対して溜息を吐いた。
もう絶滅なんたらだと思っていたヤクザに取り囲まれて、先日の礼だと脅されたのはつい先日のことだ。
べつに難なくそれも返り討ちにしたつもりだったけど、殴った蹴った で話を終わらせてくれない人種なんだってことを忘れていた俺は、バイト先を人質に取られてどうしようもなくなった……って、ベタなことになっているわけで。
俺一人にくるなら返り討ちにすれば済む話だけれど、それがバイト先のおっちゃんやおばちゃんに迷惑をかけるってなると話は別物だ。
あそこは、じいちゃんが口を利いてくれてお世話になっている場所でもあるし、族を解散させてぶらぶらしていた俺を受け入れてくれた恩義のある場所で……
「あーっ!」って派手な声を上げて俺の上で女がイクけど、その甲高い声にびっくりしたせいでイきそびれちまった。
「あーっあんたのち〇ぽ形がいいよねぇ!」
ぶるぶるっと震えるから大きな胸もそれにつれて振れて……それは悪くないんだけど、もうちょっと腰を振ってて欲しい。
「きっれーな形ぃ」
そう言ってさっさと抜いてしまうから……あー……もう、めんどくせぇ。
「ち〇こにきれいもなんもあるかよ」
「ええー!あるってぇ!」
そう言うとさっさと水を飲みに行ってしまった。
「…………」
仕方なくゴムを片付けて、またどっかで適当な女を引っかけようと肩をすくめる。
「でもさでもさ、あんたも良くやるよねぇ?」
「なにが?」
手渡された水を飲み干す間、俺の方を見ているけれど治まっていないムスコには気づかない。
「袋叩きにされたのにまた来るなんてぇ」
「いや、袋叩きにしたのは俺だし」
「んもー!そんな見栄張らなくてもいいよぉ、そう言うトコ可愛いなぁ」
見栄じゃなくて事実で。
自分の旦那のあの面見てもまだ俺がやられたって思ってんのかよ。
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