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ひざまずいてキス 3
そう思うとげんなりして、股間のムスコもうなだれると言うものだ。
「ちゃんとお詫びするのよ?」
「詫び……ああ、あれか」
ヤクザの、じゃなかった、大神慧って言うお偉いさんを探れ なんて、しがないラーメン屋のバイトがホントにできると思ってんのかね。
のらりくらりとかわして、とりあえずほとぼりが冷めるまで逃げまくるか?
「あんたがちゃんとやってくれないと、あたしが体を張ったのバカみたいじゃない?」
「あー?体張ったってー……」
いきなり声をかけて来て、初っ端からぐいぐいぐいぐいくるなぁと思ったらそう言うことか。
美人局だったのが、俺にやり返されて人質を使って脅すことに路線変更したってことだろう。
「んじゃあ、なんでまだ俺と寝に来てんの?」
そう言ってやると、名前なんだっけ?……女は赤い唇をにまりとさせてまたベッドの上へと戻ってくる。
「だってーきれぇなち〇ぽ気持ちいいんだもん」
「へぇー」
萎れかけてたけど、出せなかったせいか女がからかうように触ってくるとすぐに元気になる。
「それに若いし!」
若いんじゃなくて出せてなかったからだって言っても、きっとこの女は聞きやしねぇんだろう。
くすくす笑いながら跨ってくるから、まぁすっきりさせてくれるんならって放っておいた。
「あ、じゃあさぁ、じゃあさぁ、そのお付きの人から落とすのどう?」
「あ?」
今度こそすっきりさせて貰えたから、お礼に腰をもみほぐす。
その最中に愚痴ったところそう返事が返ってきた。
「いいモノもってるしぃ、あのお付きの人ってそっちなんでしょ?」
「はぁ?」
無駄な筋肉で出来上がった体は固そうで……俺はこっちの筋肉の少ない柔らかいからだの方が断然好きだ。
ついでに言うと男になんか興味ない。
「ほらほらほらぁ!体でメロメロにさせてってあるでしょぉ?」
わざとらしく頬を突いてくるところを見ると、女は俺が骨抜きになっていて、だからヤクザの言うことを聞いていると思っているようだった。
胸はいい線イってるけど、それだけで興味は湧かない。
それよりはバイクと、それから殴り合って楽しい相手がいればいいと思った。
いけ好かない、馬鹿みたいに大神の後ろをついて歩く男に興味なんかこれっぽっちも湧かないせいで、どうにもこうにも行き詰まっていた。
俺みたいなのに頼まなくとも、きちんとした探偵とかなんかそう言ったのに依頼すれば早いだろうし、確実なはずだ。
つまり、腕が立って切り捨てやすい奴じゃないとまずい何かが起こるって言うんだろうなってことは、俺でもわかる。
表の社会である程度地位があるって言うのに、あの大神って言うヤツ隙がなさすぎだ。
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