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落ち穂拾い的な 番の繋がり

 僕に教えを乞う立場であると言うのに、しずるは胡乱さを隠しもしない表情でこちらを見る。 「あ、その顔は信じてないね」 「当たり前でしょう」 「ほら、昔から言うだろ?虫の報せって奴」  そう言うとちょっとは納得したのか、真面目な顔に戻ってうんうんと頷く。 「昔から、オメガには番が亡くなったことがわかるって言うのは良く聞く話なんだよ」 「眉唾じゃなくて?」 「現代でも良く聞くんだよ。番が亡くなった瞬間、体中が痛くなったとか、息ができなくなったとか、訳も分からず不安になって錯乱してしまったとか……体調不良を感じたとか?他にもわからないだけでいろんな症状があると思うよ」 「そう言うのが起こるのは、運命の番だからですか?」  メモを取っていた手を止めて……  しずるの僕を見る目はやっぱり詐欺師でも見るような目だ。 「いや、それに限らずだよ」  そう答えると、しずるはやっぱり腑に落ちないような顔をしている。 「どうしたんだい?」 「それって、いったいなんですか?」    彼の問いかけは極めてシンプルだったけれど的確だった。 「うーん……それこそ、君達の間にしかない『絆』とかそう言ったものじゃない?」 「…………」  いい加減、ペテン師を見るような目はやめて欲しいものだ。 「まぁ正確に言うと、まだ何かわかってないけど何かあるって状態。なかなか研究が進んでないのが実情」  はは と笑うとますます彼の目は冷たくなっていく。   「医学とか科学とかそう言うのは放り出しておいてさ、気持ちだけで話すなら、そう言う繋がりがあるのは素敵なことだとは思わないかい?」 「……嫌ですよ」  むっと拗ねた口調は彼がまだまだ子供だと教えてくるようで、可愛いものだと思わせる。 「俺は雪虫に悲しんで欲しくないから、俺に何かあった時は知らないでいて欲しい。辛いこととか苦しいこととか、悲しいこととか……全部から守りたい。それが例え俺自身のことだったとしても、それが雪虫を泣かせるなら許せない」  言い切った言葉の青臭さについ微笑むと、どうしてだかさらにムッと唇を尖らせてしまった。    子ども扱いされていると思ったのだろうか?  それとも自分の考えを笑われたと思ったのか…… 「そんな繋がりでも繋がってて欲しいって思うこともあるんだよ」 「……わかんないです」  青臭いなぁと思いつつも微笑ましくて、記憶の中の面影を探しながら細い鎖で首に吊るしてある指輪にそっと触れた。 END.    

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