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赫砂の失楽園 93
そうすると驚いたのか、うろたえるそぶりを見せて赤い顔のままうつむいてしまった。
「オレが可愛いと思うから可愛いんだ」
行き場を失った手がオレの邪魔をしないように握り締め、ちゅうちゅうと繰り返しわざとらしいほどの音を立てて股間に吸いつく。
「アルノリト、直接触れたい」
服ではもう隠しようがないほど膨らんだソコに頬を擦り付けながら訴えると、自身を拘束しているオレの手を複雑そうな目で睨んでからぐいぐいと身を捩り始める。
長いトーブに似た服はそんなことではめくれ上がりもしないから、アルノリトははぁはぁと息を荒げながら切なそうにこちらを見下ろし、唇を噛み締めて首を振った。
「アルノリト、触れない」
けれど繰り返すようにオレも淡々と訴える。
焦れたのかアルノリトが身を折ってなんとか服の一部を噛んで引っ張るも、わずかに腿が見えるようになったくらいだった。
ふぅふぅと獣の呼吸にも似た音を立てながら、アルノリトは追い詰められた表情で懸命に服を乱そうと首を振る。
オレが握り締めている手を振り払えばいいだけのはずなのに、それでも従順に拘束とも言えない拘束に従って身を悶えさせている。
「ハジメ ……ハジメっ」
食いしばった歯の間から名前を呼びながらずりずりと身をずらすのに合わせて、鼻先で服がずれるのを助けながら戯れに舌を伸ばして刺激していく。
「っ ハジメっ意地悪しないでくれ」
すすり泣くような懇願に視線を上げると、赤い宝石の瞳に雫を滲ませて今にも泣き崩れそうな表情をしている。
あぁー とわざとゆっくりと口を開いて、かぷりと服の上からアルノリトの長大なものに食らいつく。
「ぅあっ!」
こちらが驚いてしまうほど大げさにぶるりと見悶えた体は支えを失ったのか、あっと言う間にソファーへと沈んだ。
羞恥にぶるぶると震えながら、それでもオレの言いつけを守ったのか拳は握り込められたままで、自分から動こうとはしていない。
「 っ……ハジメ、頼む、お願いだ、こんなこと……っ ハジメ、君を愛したい」
「オレも愛したい」
そう返してアルノリトの上に乗り上げる。
息が切れ切れのアルバイトの体は火傷しそうに熱くて、オレの体も同じように興奮して熱いんだなと思うとどこかに残っていた恥ずかしさが顔を覗かせる気がした。
「ハジメ……っ」
腰を突き出すようにして互いの股間をすり合わせると、唾液と先走りでぬるついたソコが布越しにこすれ合う。
それだけで上がってしまいそうになった声を飲み込みながら、もどかしい気持ちでシャツを脱ぎ捨てた。
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