先輩の指先が、俺の普段性的に意識しない後ろの場所に触れられて、俺は一瞬パニクってしまった。 俺は自分の発情期から目を逸らすのと同時に、普通皆が常識として知っている性的な事からも目を逸らしてきてしまった。朧げに感じる前の世界の知識と、こちらと同じかどうかも分からずに、俺は戸惑ってしまっていた。 そんな俺の気持ちを読んだのか、先輩は俺の頬や眉間、耳へとあやす様に軽く口づけながら、囁いた。 「心配しなくても、痛い事にはならないから。雪弥の身体は自然に色々と準備出来ているんだ。それが私達の発情期の身体だ。私も雪弥もお互いのフェロモンで、高まって、蕩けている。雪弥はただ快感を享受すればいいだけだ…。」 俺は先輩の甘くて低い優しい声に、催眠術にでも掛かった気分で、素直に頷くと腕を伸ばして先輩の首元に抱きついた。そして身体の求めるままに、快感を呼び覚ます先輩の唇に食いついた。 先輩の逞しい腕に支えられて、俺は口いっぱいに蠢く甘い舌に翻弄されていた。俺の口の中にこんなにも快楽を感じる場所があるなんて想像もしなかったのに、上顎から喉の奥手前まで撫でられれば、撫でられるほどもっとして欲しくなった。 気がつけば俺はいつの間にか、先輩のベッドに転がっていて、のし掛かる先輩の唇と指先に翻弄されていた。乳首を濡らしていた舌先が臍を通って俺の性感を知らなかった昂りにたどり着くと、さっき感じた解放感と気持ち良さの記憶で、ピクンと震えた。 喘いでばかりで何も考えられない俺の様子を見つめながら、じっくり愛撫していく先輩に、俺は全面的に全てを曝け出していた。 快感を知ってしまった俺の昂りを口で愛撫しながら、両手でゆっくり俺のお尻を割開いた先輩は、何か温かなヌルついたものを窄みに塗りつけた。そんなところは気持ちよく無いはずなのに、先輩の指が触れると無意識に腰が揺れるもどかしさがあって、先輩の指に自分で押しつけてしまった。 恥ずかしさと、身体の要求に俺はどうして良いかわからずに、先輩を見上げた。先輩はギラつく眼差しで俺に激しく口付けると、俺の窄みに指を這わして撫で回していたけれど、気づけば俺の窄みは先輩の指を呑み込んでいた。 グチュグチュと出入りする先輩の指にも、先輩の巧みな口にも快感を高められて、俺はまたもやあっという間に弾け飛んでしまった。 「…先輩、俺、こんな風になりたくなかった。先輩を利用して発散する様な酷いこと、…したくなかったのに。」 俺が蕩けた意識の中で、うわ言の様に呟いた言葉に、先輩は微笑んで答えた。 「私は嬉しいよ。雪弥に利用されるなら本望だ。雪弥の情欲に飢えた顔も綺麗に感じるし、もっと私を貪って欲しい。まだ発情期はこれからが本番だから。」