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第1話

夏の焼きつくような陽射しも幾分か和らぎ始めた九月中旬の昼下がり。 立派な日本家屋の縁側で、水の張ったたらいに脚を浸し涼を取る麗しい青年の姿があった。 時折水面をちゃぷんと蹴り玉石の敷き詰められた庭に水を飛ばす。 青年の名は、絃。 黒く艶やかな髪に陶器のように滑らかな白い肌。 整った美しい顔に一際目を引く妖美に紅く染まる瞳…。 ほんのりと桃色に色ずいた頬に形の良い唇は薄く朱が刺している。 そして何より華奢な体つきには見合わない大きく張り出した腹。 人間の男性では、到底有り得ないその膨らみは、まるで臨月を迎えた妊婦のようだった。 青年は、白地に紺青色の笹が画かれた涼し気な浴衣に灰色の兵児帯をゆるく締め、裾の部分を肌蹴させ寛いでいた。 たらいの中に浸した脚は、筋肉の張りがなく。 足首からふくらはぎまでは緩い弧を描き細く、透き通るような肌をしていた。 蝉がけたたましく鳴く中で、ジャリと庭先の石を踏み締める音がし、小麦色の肌によく馴染む草色の浴衣を身に纏う男が姿を見せた。 その男は、言霊師 白蓮。 絃の旦那であり、絃の腹の子の父親だ。 「…こんな所に居たのか。身体が冷える早く部屋に戻れ。」 呆れた風に言葉を吐き出した白蓮に従うかのように絃は、部屋に脚を運びながら抗議の声を上げた。 「ちょっと!なんで霊魂を乗せるんだ。」 「あぁ、ついな…。」 面倒くさそうに言いつつも白蓮は、部屋に戻った絃の濡れた素足をするりと撫で上げ、水滴を拭うように舌を這わせた。 「や…舐めないで……。」 体毛の薄い脛から、骨の張り出したくるぶしに熱く湿った白蓮の舌が這う。 少しのくすぐったさと羞恥に絃は、白蓮の頭を両手で押しやったが、白蓮の動きは止まらない。 ゆっくりと身体を畳の上へと横たわらせると、脚を持ち上げ細く柔らかいふくらはぎへと唇が触れた。 吐息混じりにそのふくらはぎに吸い付くと、やわやわと唇で食みまるで絃に見せつけるかのように厭らしく伸ばした舌でふくらはぎを舐め上げた。 「白蓮…ぁ…恥ずかしいよ…。」 あまりの痴態に目を逸らしたいのに白蓮の熱の篭った瞳に捕らえられ視線を逸らすことができない。 そのまま腱にカプりと甘噛みをされ、こそばゆいような感覚で下腹部の辺りが軽く疼いた。 踵、土踏まずへと舌が伝いその様を絃は熱い眼差しで追いかけていた。 白蓮の舌が脚を這いずりまわり遂には、脚の指の一本一本を丹念に舐め上げ、執拗な程に指の股を味わう。 ざらりとした熱い舌の動きにジンジンと快感が集まり始め、両足の滴を舐め取られる頃には、絃の身体は蕩け色の白い肌は紅潮していた。

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