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春の誕生日と儀式に。11

少し触れただけで、達してしまった。 腰が浮いて、溜まりに溜まっていた濃厚な白濁したのが布団の上に、自身の腹に、そして兄の手に飛び散り、汚していく。 やっと、出せた。 少し火照りが収まり、だらしなく足を開き、息を整えながら、そう思っていた。 「──なに、勝手に出しているの」 地を這うような低く冷たい声。 身体中に寒気が駆け巡り、あんなにも火照っていた身体が一瞬にして冷める。 「に、兄さん·····ごめんなさ──」 「謝って欲しいんじゃないんだけど。どうして、僕の許可なしに出してしまったの」 碧人に許可なしに出してはいけないと躾られていたはずなのに、久しぶりに触られたことや、身体が疼いて仕方なくて、すぐにでも触って欲しいと思ったせい。 そう言いたいのに、恐怖が真っ先に出て噤んでしまった。 こんなでは何もかも台無しだ。 「·····こんな気分じゃ、葵を抱く気にはならないけど、きっとまた葵がシたくてしょうがなくなるからね」 ため息混じりに言った兄の言葉に半ば理解してなく様子を伺っていると、羽織と袴を脱いだ碧人が、「ほら、首輪に付いている鍵を貸して」とこちらが答える前に、ぐいと首輪を引っつかみ、無理やり起き上がらせられる。 急な首の圧迫に潰れた蛙のような声を出し、意識を失いそうな感覚に新たな恐怖を覚え、涙が溢れた。 やだ、怖い。もう、やりたくない。 着物の裾を捲った碧人がおもむろに自身のを取り出した。が、目を疑った。 なんと、兄も葵人と同様、貞操帯をしていたのだ。 一体、どうして。 目を白黒させて凝視していると、「思っていた以上に驚いているね」と鍵を錠前に差し込みながら、小さく笑う。 「一週間前から一緒にお風呂を入らなかった時があるでしょ? あの時から僕も付けられたんだ。ここを触らなければ、今日の初夜の時、感度が高まって、いつも以上に気持ち良くなるからってね」 言われて、ハッとした。 たしかに一週間前、急に兄が準備の為だからと理解できない理由を言って、風呂を共にしなかった。 当たり前になっていたのもあって、それが寂しく感じている葵人の首に、「これを僕だと思って大事にしてね」と鍵が付いた首輪を付けられたのだ。 それが兄の貞操帯だっただなんて。 服従の意味で付けられていたと勝手に思っていたのが、そんな意味があったなんて。

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