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周期について 11

「·····ありがと」 そう言った直後、もののついでにちょんと唇に触れる。 虚を突かれた西野寺は、小さく口を開けて、葵人のことを見つめていた。 面白いものが見れたと思いながら、頬を染め、にっこりと笑った。 「おやすみなさい」 何か言いたげな西野寺にごまかすかのように、目を閉じた。 いつもなら恥ずかしくてなかなか出来ないスキンシップであったが、嬉しくてたまらなくて、唇が目に入った時、その場の勢いでしてみたのだ。 この想い伝わっただろうか。 高鳴る鼓動が耳まで聞こえてくるのを感じ、しばらくした後、緊張している吐息が前髪にかかったかと思うと、髪が軽く払われたのを感じ、そして、額に唇が触れた。 息を吸うかのように、え、と呟いた。 こんな至近距離だから、限りなく小さく言ったとしても、起きていることに気づかれると思っていたが、何も言われることもなく、額から離れる気配を感じた。 「··········可愛いな」 心臓が飛び出るほど驚いた。 囁かれた言葉に、居ても立ってもいられなくなった。 驚いて、瞼を開けてしまいそうになるのを堪える。 福井に言われた通りに西野寺に言ってみたものの、結果耐えきれない返しをしてされて、寝ようにも寝れなかった。 けれども、言ってみて良かったと思える、とても幸せな気持ちになったことには間違いはなかった。 ためらいがちに葵人の髪に触れてくる西野寺に、小さく笑いつつも、そのうち、眠りについたのであった。

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