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周期について 10

ほら、やっぱり。 そう言いながら、離れていく気配が感じてくる。──かと思いきや。 布団ごと抱きしめられた。 自ら布団に入っておいてなんだが、いきなりしてくるだなんて心臓に悪い。二重な意味で。 心臓が早鐘を打っているのが、触れた腕に伝わってしまうのではないかと気が気で仕方なかった。 「葵人のために何かしてやりたいが、何も出来ないのがイラつく」 こうして、抱きしめることしかできねー、と拗ねたように言う西野寺に息を呑んだ。それと同時に思いが込み上げてくる。 端々と伝わっていた自分に対する思いやりの気持ち。それが彼なりの言葉で聞けて、胸がいっぱいになる。 そろりと布団から顔を出すと、瞠目する西野寺と目が合った。 今ならちゃんと目を見て話せる。 「抱きしめてくれるだけでも嬉しい。こういう時って、熱を出した時と同じみたいで、誰かのぬくもりを感じたいみたい」 微笑みかけると、段々と笑みを含んだ顔をし返す西野寺は、「そうか」と言って、 「だったら、葵人の気が済むまでこうしておく」 腹部辺りを擦りながら、さっきよりも密着させる。

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