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heat***6

「ターヘル、どうした?」 「ファリスさまっ! マライカさまがっ!!」  ファリスの顔を見たターヘルは安心したのか、声を絞り出した。しゃくりを上げながら助けを求めた。  相当怖い思いをさせていたことを知るマライカは、けれどもどうにもできず、唇を引き結び、今はただ淫らな声を出さないよう耐えるしかない。  射貫くような鋭い漆黒の目が、ベッドの上で苦しみ悶える卑しいオメガを見下ろす。彼はマライカの症状に気がついたようだ。 「……ヒート、か。ターヘル、今日はもういい。後は俺が引き受けよう」 「はい……あの、マライカさま……ファリスさま、マライカさまを……どうか、どうか……」  ファリスは涙ぐむターヘルの頭を撫でると、出入り口に向けてそっと背中を押した。  心配するターヘルは、この集落の主人ファリスとマライカを交互に見ると一礼するなり去って行った。  ――果たして自分はターヘルの純粋さを守れただろうか。 「ターヘル、は?」  半ば意識が朦朧とする中で少年の身を案ずる言葉は、しかしながら今のマライカに限ってはそうは聞こえない。  まるで娼婦にでもなってしまったかのようだ。喘ぎにも似た声も一緒に放たれる。  若き鷲の頭は、マライカのベッドの上に腰を下ろした。 「大丈夫だ。ターヘルはまだ精通していない」 「せい、つう?」 (ああ、だめだ)  押し迫ってくる熱に浸食された頭では何も考えられない。 「ファ、リス……身体が……熱い……あつい……」  マライカはファリスに助けを求めた。

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