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heat***8
身体を弓なりに反らし、ファリスの後頭部を引き寄せる。もっと強く抱いてと言わんばかりに艶やかな声を上げ、彼を誘惑するにまかせた。
マライカの秘められた箇所は太く熱い楔を欲して蜜を零す。鋼のような逞しい肉体に両足を絡め、自ら潤っている箇所を擦りつけた。
(お願い、早く!)
マライカはなかなか自分を貫こうとしない楔に痺れを切らした。自分を組み敷く男の楔に手を伸ばす。
カンドゥーラに隠された彼に触れ、外へ誘ってやった。
楔は赤黒く変色し、血管さえもが浮かび上がり膨張していた。亀頭からは先走りが滴り落ちている。
先走りを追うように、細い指先が官能的な曲線を描き、楔をなぞる。すると唇からは肉食獣を思わせる呻り声が飛び出した。
これから自分はこの楔に貫かれ、散々泣かされるだろう。ありったけの精を注ぎ込まれ、それでも飽くことなく抱かれ続ける。初めてを奪われた苦しみとは比べようもない苦痛が待っている。
それこそ人の言葉さえも理解できなくなったこの、獣と化した男に――。
彼をこのような獣へと変えるのは紛れもなく自分だ。
けれど酷く抱かれるとなると悲しくなる。
マライカの身体は悦に浸っていても、心はまったく別のものだった。苦しく、悲しい。その孤独な感覚はまるで一点の光さえもない洞窟の中に閉じ込められたようだ。
それでもマライカの唇は弧を描き、悦に浸っていた。
マライカは自ら開脚し、今の自分がどれほど楔を欲しているのかを彼に見せつけ蠱惑する。
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