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第8話

 1ー8 愛し子  「大丈夫、か?」  男がきいてくるので俺は、頷いた。  ここは、森の外。  赤い月に照らされた小川の中に俺は、腰まで浸かって体を洗い清めていた。  川辺の岩の上に腰かけてその男は、俺が水浴びしているのを見守っていた。  なんか。  視線が、痛い。  俺は、小川の中ほどまで進むと水中に体を投じた。  水は、冷たくって清らかだった。  俺は、汚れた体をごしごしと手で擦ってきれいにした。  あっ。  なんか、涙が溢れてくる。  俺は、涙を止めることもできず、泣きながら体を擦っていた。  「・・ろしてやる・・」  俺は、泣きながら呟いていた。  「殺してやる!必ず、あいつ、を」  「ああ?」  岩の上から俺を見ていた男が胡散臭げにきいた。  「誰を、だ?」  「誰って」  俺は、答えた。  「俺をこんな目にあわせた奴らをだよ!」  どこの誰だかは知らんが、必ず探しだして皆殺しにしてやる!  静かにしゃくりあげながら俺は、泣いていた。  男は、そんな俺を興味深げに見つめていた。  「まあ、誰を殺してもかまわんが、もう、あがれ。あまり水に浸かっていると体が冷えるぞ」  「かまわねぇよ」  俺は、体を洗い続けた。  男はため息をつくと服のまま小川に入ってくると俺を抱き上げた。  「かまわなくねぇだろ、腹の子に障るぞ」  はい?  俺は、男の言葉に思わず問いかけた。  「腹の子?」  「ああ」  男は、俺を運びあげるとそっと地面に下ろして柔らかい布で俺の体を包み込んだ。  「腹の子、だ」  ええっ?  俺は自分の腹に手を置いた。  とくん。  小さな命の波動が手のひらに伝わってくる。  マジですか?  俺は、あの銀髪のおっさんのことを思い浮かべた。  私たちの愛し子  そう、確かに奴は、言った。  ということは、こいつ、俺の腹の中に宿っているのはほんとに俺と奴の?  ぶわっと全身に鳥肌がたった。  俺は、拳を振り上げて腹を殴ろうとした。  「やめろ!」  男が俺の拳を掴んだので、俺は、男に向かって叫んだ。  「止めるなっ!」  こいつは、俺の魔力を吸い付くして俺を殺す。  その前に、なんとかしないと。  俺は、なおも腹を殴ろうとしたが、次の瞬間、ふわりと抱き締められていた。  「お前がいらないなら、その子供を私にくれ!」  男が俺を抱き締めて耳元で囁く。  「私がお前の子の父親になろう」  男の言葉に、俺は、涙ぐんでいた。  男の温もりが俺の冷えきった体を包み込んでいた。  

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