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第9話
1ー9 発情ですか?
男は、ロイと名乗った。
たまたま急ぎの用があり夜の森を抜けていて俺がオークたちに襲われているところにでくわして助けてくれたらしい。
ロイは、空中から服を取り出すとそれを俺に渡した。
「俺のものだがとりあえず着ろ。街についたら新しいものを買ってやる」
俺は、黙ってその服を着た。
だが、ロイの服は俺にはでかかった。
俺は、ちらっとロイの方を見た。
やっぱ、この人もでかい。
なんで?
俺だって、決して背が低いって訳じゃないのに、何、この感じ!
「あの」
俺は、小声で礼を言った。
「助けてくれて、ありがとう」
俺は、頬が熱くなってきてうつ向いた。
ほんと、情けない姿をロイには見られてしまった。
裸で縛られて、化け物どもに犯されそうになって、びびって泣いてたし。
それに。
俺、恐怖のあまり、失禁してたし。
うわっ!
ほんと、穴があったら入りたい!
ロイは、そっと俺の頬に触れると微笑んだ。
「気にするな」
あっ!
俺は、ロイに触れられて背筋がぞくぞくしていた。
なんだ?
この感覚。
俺は、ほぅっと吐息を漏らした。
体が変、だ。
体が熱くって、なんか、痺れたような感じ。
俺は、ロイに借りている上着越しに前を押さえた。
なんですと?
俺は、呻いた。
なんで、俺、立っちゃってるの?
「お前・・」
ロイが俺の顔を覗き込んできたので思わず目をそらせる。
「なん、でもねぇし!」
俺は、前を隠しながら近くの茂みへと駆け込もうとした。
どげんかせんといかん!
だが、俺は、身を隠すこともできなかった。
がっしりとロイに手首を掴まれてその場に止められていた。
「マジか・・お前、発情しているのか?」
「んなわけが!」
俺は、きっとロイを睨み付けた。
「離せってば!」
ロイの手を振りきろうとする俺の上着の裾をまくりあげるとロイが低い声で囁いた。
「なら、この体はどういうことだ?」
「これ、は、その」
俺は、慌てて上着の裾を押さえて前を隠そうとした。
「ちょっと、その・・」
「おそらくオークの血を浴びたせいだろう。オークの体液には誘淫効果があるからな」
ロイは、俺の手を引っ張って地面に座り込むと俺を膝の上に抱き込むように座らせた。
「すぐに楽にしてやる」
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