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第46話

 5ー10 体が覚えてる。  夕方には、奴隷商のもとから護衛用の剣士とグレイシアがギルドへやってきた。  俺とクーランドは、魔法連合ギルドの門のところで待ち構えていた。  ところが。  ガザックのところの馬車から降りてきたグレイシアは、開口一番。  「私の電源をはやく入れなさい!セツさん」   「やだよ」  俺は、きっぱりと答えた。  「お前の目線は不純で、いやらしいからな。しばらく静かに瞑想でもして精神修行してろ!」  実は、ここにきたばかりの日の夜に俺は、こいつと喧嘩したんだが、なんかこいつ変なんだよ!  このスマホ女神は、俺がアザゼルさんにその、スケベなことをされるのを期待してるようなこといったもんだから。  なんだろう。  腐女神?  こいつ、息を乱しながら、俺にアザゼルさんが夜這いしてくるんじゃないかとか言うもんだから。  俺もついスマホの電源を切ってたってわけだな。  「アザゼルさんは、お前と違って紳士だからそんなスケベなことなんてしないんだっちゅうの!」  俺が言うと、背後で誰かが吹き出すような音がきこえた。  振り向くとアザゼルさんが大笑いしていた。  「ア、アザゼルさん?」  「ふ、ふふっ、紳士、か」  アザゼルさんが目に涙を浮かべて笑っていた。  「私が紳士だからセツ君にスケベなことなんてしない、だって?」  ひとしきり笑ってからアザゼルさんは、こほん、と咳払いした。  「セツ君、私は紳士かもしれないけど、正直、そういうことで君にあまり信用されたくないな」  はい?  俺は、笑顔が固まるのを感じた。  「どういうことだ?」  田中君が、いや、ダイナス、だっけ?ダイナスが不穏な目をしてアザゼルさんを問い詰めた。  他の2人も、アザゼルさんを睨み付けていた。  「そういうこと、だよ」  アザゼルさんがにやりと笑った。  3人が歯軋りしながらアザゼルさんを睨んでいるのを見ていたクーランドが呑気に笑った。  「もてもてじゃね?セツ」  「そんなこと、あるか!」  つうか、男同士でもててもうれしくねえし!  誰か!  俺に、もう少し、まっとうな恋のフラグを立ててくれ!  ギルドの入り口でわぁわぁ俺たちがいってると大きな竜車が玄関に横付けされた。  俺たちは、立ち止まってその黒光りした馬車を見ていた。  馬車の扉が開き中から現れたのは。  「ロイ?」  俺は、信じられないものを見たように釘付けになっていた。  ロイも俺に気づいて俺の名を呼んだ。  「セツ!」  名を呼ばれて俺は、体の奥がじゅんっと熱くなるのを感じていた。  

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