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第78話

 8ー10 白狼出現!  俺が採集したセイタカブクブク草をカバンに収納していると森の奥からばたばたと騒がしい音がして数人の若い男達が駆け出してきた。  彼らは、俺たちを見ると叫んだ。  「ゴブリンの群れがくるぞ!早く、逃げろ!」  はい?  俺は、思い出したくない過去を思い出して震え上がった。  「早く、逃げないと!」  「ちょうどいい」  アルバートおじさんは、逃げようとしている俺に向かって言い放った。  「ちょっとした腕ならしだ。行け!お前たち」  ええっ!  俺は、及び腰だったが、外のメンバーは違っていた。  「よし!やってやるぜ!」  クーランドが背負っていた斧を下ろすと構えた。  グレイシアは、それを見て頭を振った。  「やれ、やれ」  グレイシアも腰につけていたホルダーから魔導書を取り出した。  「みな、くれぐれ、も、死ぬな、よ」  俺は、震える手で腰につけていた短剣を取り出して構えた。  マジで、みんな、ヤル気満々だな!  俺は1人だけ逃げ腰で呟いた。  「なんかあったら、みんな、恨んでやる!」  俺は、オークとゴブリンへのトラウマから、震えが止まらなかった。  「大丈夫、だ、セツ」  アルバートおじさんが前に進み出た。  「お前のことは、この俺が守ってやる 」  アルバートおじさんは、そう言うと森の奥へと目をやって叫んだ。  「野郎共、稼がしてもらおうぜ!」  「「おうっ!」」  クーランドとグレイシアが応じた。  空気が揺れた。  森の奥から地響きが聞こえてくる。  俺は、完全にびびっていた。  だが、外の連中はヤル気満々だった。  「ぐぎゃおうぅうっ!」  咆哮をあげながら、ゴブリンたちが俺たちへと飛びかかってきた。  「ぎぃやあぁあぁっ、死ぬるぅ!!」  俺は、一瞬、死を覚悟した。  だが。  その猿の群れは、俺たちに見向きもせずに駆け去っていった。  「なんですと?」  俺は、顔をあげて周囲を見た。  なんで?  アルバートおじさんが叫んだ。  「奥から来るぞ!」  体の奥まで響き渡るような低い唸り声が聞こえて、奥から白い影が現れた。  「白狼、だ!」  俺たちの間に緊張が走った。  どうやら、あのゴブリンたちは、この白狼に追われて逃げてきたらしい。  

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