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第79話
8ー11 俺が預かる!
『白狼 白銀の毛皮を持つ魔狼。ランクCからクエスト対象となる。氷魔法を使う。家族の絆が強い』
鑑定スキルのおかげで俺には、めっちゃこいつのことが理解できてきた。
でも、問題なのは、今、目の前にいて俺のことをむちゃくちゃ睨んでいるこいつなんだよ!
すげぇ、ガン飛ばされてるぞ、俺。
「クーランド!お前と俺が戦う!グレイシア、お前は、俺たちの援護を頼む!」
アルバートおじさんは、背負っていた長剣をすらりと抜刀すると白狼を睨み付けた。
「クーランド!」
「任せろ!」
クーランドが斧を振りかぶった。
「とぅっ!」
白狼は、クーランドの一撃を避けることなく受け止めた。
うん?
きいてない?
がくっと白狼が膝を折るのが見えた。
クーランドの攻撃は、白狼に届いていた!
「一気にけりをつけるぞ!」
アルバートおじさんは、剣を振りかぶると呪文をぼそぼそと詠唱し始めた。
剣が青い光をまとい始める。
「いけっ!魔天大切斬!」
アルバートおじさんの必殺技的な技が決まって、白狼は、その場に崩れ落ちた。
「やったか?」
アルバートおじさんは、剣を下げるとゆっくりと白狼へと歩み寄っていった。
「きゅう」
倒れた白狼の背後から小さな白い毛玉のようなものが一匹よろよろと出てくると、はぁっ、とおじさんに向かって牙をむいた。
何、これ、かわいい?
「がぅっ!」
息も絶え絶えのその白狼は、毛玉を守ろうとしてか、弱々しくも俺たちに向かって威嚇してきた。
「そうか、こいつのために戦っていたのか」
アルバートおじさんがため息をついた。
「子持ちとはな」
「きゅう」
チビは、倒れている白狼に鼻先を擦りよせて悲しげに鳴いた。
俺は、おじさんの側へと近づいていくときいた。
「どうするの?これ」
「どうもこうも」
おじさんは、剣先を白狼の親子にむけた。
「ここで殺さなくては、後々の災いの種になる」
『待て、小さき者どもよ』
何かの声がきこえて、俺は、辺りを見回した。
『私は、この森の王ラクシア。私の声が聞こえる、お前に頼みたいことがある』
はい?
俺は、耳を傾けた。
そのとき、おじさんが剣を振り下ろそうとした。
「待って!アルバートおじさん!」
俺は、アルバートおじさんを止めると告げた。
「この親子は、俺が預かる!」
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