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第28話※
「ユキはここ、いっつも勃ってんな……」
「あ、ぅ」
指と指で挟んだそれを、直は一物と同じく上下に擦った。
雪の体は常に冷たい。
常に冷たい乳頭は、いつも控えめに尖りを見せつけている。
直はずっと雪の尖りに触れたかったと告白し、薄着の季節は理性の我慢大会だったとも拗ねた。
「ンッ……」
「ユキ、気持ちいい……?」
「ちゃう、びっくりしただけ、やし」
「でもかわええな……」
「かっ、かわいないっ」
「かわええよ……ユキは、かわいい。乳首触られて、震えとるユキで抜くん……俺は気持ちええわ」
「嘘や、お前、気持ちええわけないやんっ……」
かわいい、エロい、気持ちいいと繰り返し雪を洗脳していく悪い男にコリコリと乳首を扱かれ、雪はぎゅっと背を丸くする。
そんなこと、雪は知らない。
雪のせいじゃない。直に触れてほしくて尖ったわけじゃない。
それに直だって、大概だと思う。
直が自分を見下ろして、自分で慰めて、ポタポタと雫を滴らせながら勃起したモノをパチュ、と擦る姿をオカズに、男の乳首を愛撫しているのだ。
(ナオかて、エロいやん……感じてまうわ)
「あっ……ん……ぁう……」
乳首を触られてそんな直を見せつけられた雪は、はっはっと呼吸を乱し夢中になって快楽を追いかける。
わざわざそこを意識することなんてなかったし扱かれたところで快感は感じないはずが、直が丹念に布地を挟んで摩擦すると、雪はくすぐったさの中にむず痒さを感じた。
「乳首、湿っててエロい……」
「はっ……アホ」
「俺、めっちゃ嬉しい……ユキが溶けてて嬉しいん、初めてかもしれへんよ……? マラソンしたみたいに、びちょびっちょなカラダ……かわいい、ユキ……俺の想像より、いっぱいえっちぃ……」
「お前、俺でどんな妄想して抜いとってんっ」
「聞いてくれんの……?」
「ち、ちがっ……」
溶けた乳頭から水分が滲み出るほど熱される雪の耳元に、直はほおずりして甘える。
「まず、ユキがハダカで、俺のベッドに寝てんねん」
「ぁっ……」
耳たぶをチュ、と食み、頬を擦りつけた。その唇と舌が熱くて、雪の全身が戦慄く。
「舌で、あ、あかん」
「聞いてて……でも手ぇ止めんといてや……?」
「そんなん、むり」
「冷たい身体でも関係あらへん……俺はユキの白い肌に痕いっぱいつけて、ユキの乳首も齧るし……ユキの中にも、触る……」
「さ、触らんといて、溶ける」
「溶かすよ……? 腰掴んで、中に挿れて……」
「あぁ、う、ぅ」
「頭ん中では、いっぱい突いたな……」
「ぅ、ひ……っ」
耳たぶからゾクゾクゾクッ……! と掻痒感が這い上がり、手の中の肉棒がパチャン、二人の間の水たまりに汗を落とした。
直は聞かれたから答えているだけだろうが、雪は本当に本当に、水になって死にそうだ。
想像してしまう。
直に抱かれている自分の姿を直の声に合わせて想像してしまって、誰にも許したことのないただの排泄器官がきゅんと疼く。
これはマズイと自覚があるのに、はっ、と耳元で熱のこもった官能的な吐息を漏らす直が、物欲しげに囁く。
「ぐしょぐしょで抜きあいっこも、ええけど……ほんまは舐めて、しゃぶって、ひっついて……抱きたなった」
──ズルい。直はズルい。
「ナオぉ……キスしたいぃ……っ」
「っ……」
今の状況を脳に教え込んでいくと頭が上せて、雪は溶ける肉棒を擦る手を、大胆に動かしながら泣きそうな声で直を責めた。
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