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第27話※微

 全く躊躇しない直はおかしい。俯き、なるべく直を見ないようにしてベルトを弛め、ジーンズのフロントホックを外す。  カチャカチャという金属音と衣擦れの音が二人分、ぬるい暖房の効いた部屋に響いていく様が、雪の肌をなぶった。 「ユキ、湿っとる……不安やろうし、恥ずかしいんやろ?」 「あっ当たり前やんっ……」 「やのに、俺に見せてくれんの……? 嬉しすぎてイける……」 「やかましい……!」  お互い軽く脚を開いて向かい合い、雪の腿の上に直が足を乗せている。  逃げられない。  逃がさない気だ。  雪は下着の中から陰茎を取り出し、拙い手つきで触れてみる。  オカズなしでは芯もないが、なんとか普段見ているアダルトビデオを想像する。  やり方なんて一時的に飛んだ。  湿りを帯びる肉茎を握り、そっと動かしてみるのが精一杯。 「ん……」 「っ……」  こんな状況でちゃんとできるのかと不安になっていると、俯く視界の中に、直のそれが見えた。  布越しに押し付けられた時に感じた通り、直のそれは既に反応を見せている。  見慣れた男のブツだ。物珍しくない。  だけど見るからに熱そうで、雪はゾクッ、と背筋の粟立ちを感じた。  直がゆっくりと手を動かし始めると、雪はどうにも恥ずかしい。  こいつはこんなモノを自分の中に挿れようとしていたのかと思うと、絶対無理だバカヤロウと暴れたいような気分だ。 「あ、よかった……ユキ、勃っとる」 「そっ……そんなん、言わんといて……」  ぼんやりと直に指摘され、雪は髪からポタ、と雫を落とした。  雪は全身が(ゆき)のような融解体質なので、もちろんのこと、勃ち上がった男の勲章も溶ける。悲しきかな。  勃起するにつれて、雪の屹立は夏場のアイスキャンディーのようにしとどに濡れた。  それを擦る手も溶けているものだから、雪が一物を擦るたび、滴る体液が手と肉棒の隙間からチャプ、チャプ、と本来聞こえるはずのない水音が聞こえる。  雪にとってはこれが普通だ。  一人で慰める時は裸でないと服が濡れて着替えなければならないので、基本的には風呂場で密かに楽しんでいる。  それをまさか、幼なじみと、ベッドの上で向かい合わせにするとは。 (ナオ、全然溶けてへん……俺は溶けるから、こんなびちょびちょやのに……でもなんか、ヌルヌルしとる……)  直とは目を合わせられないのに、雪の視線は直のモノに釘付けである。  アダルトビデオで見たことはあるが、あれはいろいろ演出が過剰だ。  リアルな普通の男のそれは初めてで、雪はもともとの好奇心がソワソワと疼く。 「ナ……ナオかて、勃っとるやん……?」 「勃っとるよ……? ユキのオナニーで、めっちゃ興奮しとる」 「もっ、もうちょいマイルドな言い方せぇよっ。恥ずかしぃて水になったらどないすんねんっ……!」  そう言うと、直は「水にならんといて」と首を振り、足で雪の体をグッと引き寄せる。別に、なったことはないので冗談だ。  顔が首筋に近づき、吹きかけられた吐息も自分より高温だった。  自身を扱いているのとは違う空いていた片手が、服の上から胸の上をモソリと探る。 「っ……」 「服の上や。だいじょうぶ……触らせて」  ピク、と肌が震えた。  逃げ腰になりそうになったが、甘えん坊な直のオネダリにぐっと堪える。素肌じゃないのだから我慢しなければ。  自分を戒める雪の胸をサワ、サワ、とまさぐる直の手は、そう時をかけずに浮き上がった突起を見つけ出す。

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