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銀冠
「あの・・・花火が・・・。」
「そうだな、すまない。」
「謝らないで下さい。嬉しいです。恭弥さんとの初めてのキスだからちょっとビックリしてしまいました。」
俺の腕をギュッと握り照れ笑いをする祥雅が可愛くて俺はもう一度だけ軽く触れるだけのキスをした。
「恭弥さん、僕の心臓が壊れちゃいます。」
「俺は壊れてる。」
祥雅は俺の胸に耳を当てると上目遣いで俺を見てクスリと笑った。
「本当だ。恭弥さんの心臓が凄くドクドクいってる。」
「祥雅だけだからな俺をこんなにドキドキとさせるのは、だから愁哉のことを気にするな祥雅。」
「恭弥さん・・・本当は凄く不安でした。ずっとずっと思い続けていた人に勝てる自信がなくて・・・。」
「すまなかった。祥雅、好きだ。これから先もずっとそばに居てくれ祥雅。」
「はい。恭弥さん。貴方のそばに居ます。覚悟して下さいね。」
目に涙を溜めながらニッコリと笑う祥雅を引き寄せ抱きしめて唇を重ねた。
俺たち2人の間で銀冠が上がりゆっくりと花弁を垂らしながら落ちている。
それはまるで俺達の幸せを願って愁哉が祝福してくれている様に思えた。
愁哉、ありがとう。
俺、また夏が好きになれたよ。
お前が好きな銀冠もまた好きになれた。
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