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翌朝
「ちょっ、宏崇さん起きて、起きろー!」
数時間後。腕の中で暴れるミズキに起こされ、不承不承目を覚ます。途端、寝惚け頭に響く声。思わず顔を顰めて唸れば、背中から抱き締めていたミズキが勢いよく振り向く。
「あっやっと起きた…!宏崇さん、早く抜いて!突っ込んだまま寝るとかマジありえねえ!」
「あ゛ー…うるせえ……朝から騒ぐなよ…」
「いやアンタが起きないのが悪いだろ、いいからさっさと抜い……んむぅっ!?」
キャンキャン喧しい口はキスで塞ぐに限る。軽く舌を入れて口内を舐めてやり、最後にちゅっと吸ってから唇を離せば、すぐに静かになった。喚いていた口はへの字に曲がって引き結ばれている。
「ううう……お、俺の恋心が弄ばれてる……」
顔を真っ赤にして悔し気に呻く様は、まあ実に子供っぽい。密かに笑って、俺は丸い後頭部に掌を添えてわしゃわしゃ撫で回しながら、口を開いた。
「なら、俺のも好きに弄んでいいぜ。それでお相子だろ」
「……え?」
「じゃ、二度寝するからよろしくー……」
「ちょっ、待って、なんか今とんでもないこと言われた気がするんだけど!?」
『俺のこと好きなの!?』とか何とか騒いでいるので、夢うつつに頷いてやると増々煩くなった。隣部屋に迷惑だと止めるべきなんだろうが、生憎、コイツの声は俺の耳には心地良いBGMにしかならない。そして、今はひたすら眠い、ので。
今日も喧しくて可愛い男の怒声を聞き流しつつ、俺は悠々と二度寝に入った。
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