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第1話
ブーーーー
今夜も寮内に消灯のブザーが鳴る。
それを合図に俺はベッドから毛布を剥ぎ取ると扉を開けて、まだ肌寒さの残る廊下に出た。煌々とついていた明かりは大半が消され、数個の明かりで薄暗く廊下を照らし出している。
カチャリと扉が閉まると俺はゆっくりと周囲を見回した。
するといくつかの部屋の扉が開き、俺と同じように毛布を持った学生が談話室に向かって歩いて行く。俺もその背中を追うように歩き始めた。
談話室に置いてあるソファには既にいくつか毛布の塊ができていて、俺も空いているソファに寝転がると毛布を頭から被って目を瞑った。
この寮に入ってから毎晩、俺は部屋ではなく談話室のこのソファで眠り続けている。
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