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第2話

検査をしたのはちょっと面白そうだと思ったから。 まさかその検査結果でこんなことになるとは…… 学校でαとΩの特別授業を受け、検査を受けたければ受けられると聞いた俺は数人の仲間と共に手を挙げた。 そんなことも忘れていた頃、その検査結果を保健室に呼ばれて受け取った。 貰った小さな封筒を開けて中身を見ると、「α」の文字。 「え?!俺が、ですか?」 小さく頷くが、保険医の顔は高揚していた。 この学校からαが出るなんて奇跡だみたいなことを言われた気がするが、俺は自分が数万人に一人の特殊性ということが信じられず、あまり話を聞いていなかった。 国から連絡がいくからとか言われ、俺は保健室を出ると雲の上を歩くようにふらふらしながら教室に戻った。 どうだったと先に結果を受け取った仲間に聞かれ、無言で紙を見せる。おお!とどよめきが起こり、俺は内心少しいい気分だった。 「陽(よう)がαで月(つき)がΩか。双子なのに、面白いな。」 「え?月、Ωだったのか?」 「あぁ、これ。」 俺と同じ紙に「Ω」の文字が印字されていた。 「お前ら、兄弟で番えるじゃん!」 誰かの声に、二人で顔を見合わせ同時にゲーっと嫌そうな表情をする。 「マジでやめろよ!気持ち悪りぃ。」 「こっちも願い下げっだっつーの!」 月が自分の紙を俺から引ったくるように取ると、帰るぞと言って教室を出て行った。 「待てよ!ったく……じゃあな!」 鞄と紙を掴んで教室を出ると、廊下の先で月の背中が見えた。 「おい!月!……っ!」 名前を呼びながら近付くと、月が誰かと話しているのが見えた。 「お!α様のお目見えだ!」 軽口を叩いて俺に一礼する。 「秀(しゅう)先輩、やめて下さいよ!俺もまだ実感なくて……」 「陽がαで月がΩか。俺はただのβだったからな。まぁ、何か困ったことがあれば言えよ?」 いつからか月が懐いている秀先輩。同じ顔の俺を月と間違えたのがきっかけで、俺とも話すようになった。 「俺も別に特別な何かじゃないし。なぁ、先輩!Ωでも……その、βと……番になれるよな?」 あーあ、わっかりやすい顔しちゃって。 こう言う時、双子っていうのは不便だなって思う。 感情が流れ込んできて、イヤでも月の気持ちが分かってしまうから。 「あー、どうなんだろうな?Ωもαも少な過ぎて今だにわからないことだらけって理由で、国が管理しているとか聞いたけど。保険医から聞かされなかったか?」 そう言えば連絡がって言っていたな。 「なんか連絡が来るとは言っていたけど。国の管理って、なんか怖いな。」 月と顔を見合わせ、二人して不安な表情になる。そんな俺達の頭をぐしゃっと撫でると先輩がニカっと笑って言った。 「大丈夫だよ!何かあったら連絡して来な!俺や学校の皆がお前達を助けてやっからさ!」 「先輩、ありがとう!」 月の嬉しそうな顔を見て大きなため息が出そうになるが、今は先輩の言葉に救われる。 「何かあったらお願いします。」 ペコっと頭を下げる俺に、αを助けておけば将来安泰だろうしさ!と、ウィンクをした。 「うっわ!サイテーなこと言ったよ、この人!」 俺の言葉にガハハハと笑って嘘だよと言いながら俺達の背中を押した。 「さっさと家に帰って、親に報告しな!いきなり国から連絡が来たらびっくりするだろう?」 「あぁ、そうだな。それじゃあ、先輩!」 「あぁ!」 まだ喋り足りないというように足を動かそうとしない月の手を引っ張って、下駄箱に向かった。

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