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第3話

家に戻って迎えに出た母親に意気揚々とこれと二人で結果を渡す。 「うちは私もパパもβだったから、どうせ皆βよ。」 面白そうだから検査してみたと報告すると、そう言って笑っていた母さんは俺の封筒を開けて顔を輝かせた。 「本当にこれ、陽の結果なの?」 「なんだよ、それ。ひでぇな。ここに俺の名前がちゃんと書いてあるだろ?」 苦笑しながら紙に印字されている俺の名前を指で指す。 それを目を見開いて指で確認すると、満面の笑顔を俺に向けた。 「すごいじゃない!それじゃあ、月も……え?」 先ほどとは打って変わって、一瞬で顔が青ざめていく。 「これ……なんで双子なのに……どうして……?」 今にも崩れ落ちそうになる体をなんとかソファに座らせて、俺達の顔を見上げた。 「月……あなた、Ω……なの?」 嘘でしょうと涙が頬を伝う。 「どうしたんだよ?」 後ろから突然声をかけられ驚いて振り返ると、俺達双子のいっこ上の兄貴の空(そら)が呆然と突っ立っていた。 「お前ら、母さんに何をしたんだ?!」 怒鳴る空に違うのと言って母さんが俺達の検査結果を手を震わせながら渡す。 それを何?という顔で見た空の顔が驚きと高揚感で赤くなっていった。 「え?陽がα?すっげーじゃん!で、なんで母さんが泣いて……っ!」 月の紙を見た途端に空の顔も一気に青ざめる。 「これ、この結果って……月、本当にこれ、お前の結果なのか?!」 「俺の名前……そこに……」 月の指が震えているのが見え、先程までの数万人に一人という特別感に高揚していた心が一気に冷やされていき、訳の分からない恐怖に体が震える。 空が何度も何度も紙を見直すが、そこに書かれている名前も結果も到底変わることはなく、嘘だろと呟きながら床に座り込んだ。 「何でだよっ?!何で月がΩなんだよ!!」 床を拳で叩きながら空が叫ぶ。俺達には二人がなんでこんなにも嘆いているのかがまったく分からず、ただ呆然と立ち尽くしていた。

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