13 / 13
第13話
そしてその教えは今も活きている、と思う。
「だって、あなたと一緒のベッドに眠るようになるなんて、考えてもみなかったもの」
ニネットの素行の悪さに人々は、なぜバーラのように真面目な方があんな男と付き合うのですか、と問いかける。
お世辞にも美丈夫とは言い難い風貌に人々は、なぜバーラのように美しい方があんな男と付き合うのですか、と問いかける。
「人、それぞれですから」
くすりと笑って、いつも返す言葉をニネットの耳元で囁いた。
「ん……、バーラ?」
「ごめんなさい、起こしちゃった」
もぞり、とベッドの中で動いたニネットは、バーラに軽くキスした。
「この唇が、俺の悪口でも言ってたんじゃないの?」
「解かっちゃった? ニネットおじさん」
「それ言わないで、って言ったろぅ?」
「目尻に皺、見つけちゃったよ」
そう言いながらも、バーラはその皺にキスを落とした。
「笑い皺のある人は、幸せになれるよ」
二人寄り添い、ぬくもりを与え合った。
外の嵐は、もうバーラの幸せな眠りを妨げることはなかった。
ともだちにシェアしよう!