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第12話

 あの日の別れ際に、僕は『ありがとう、ニネットお兄さん』と言ったんだ、とバーラは思い返していた。  それからずっと、ニネット様はニネットお兄さんとなってバーラの傍にいた。  面白い事に、彼はバーラが何か話しても、いつもこう言った。 『へぇ、そんな事があったの』  ギル様ならば、もっといろんな返事をしてくれた。  それを話すとニネットは、言った。 「じゃあねぇ。もし俺だったら、こうするよ」  バーラのやった事を、善いだの悪いだの言わない代わりに、もし自分が彼の立場だったらこうする、と言うニネット。  バーラはそんな返事に、物事は人の立場によって全く違う側面を見せるのだ、という事を学んだ。

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