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第12話
「な、優希」
「ん?」
長く伸びる、ポプラ並木。
葉は落ち、冬支度の高い木だけが整然と並んでいる。
まだ朝も早いので、人影はほとんどない。
要人は、優希にいたずらっぽい笑顔を見せた。
腕を取り、一本のポプラの陰にその身を潜めた。
(今朝の要人は、やけに機嫌がいいな)
昨日は、ひっくり返るくらい驚いた。
正確に言うなら一昨日からだ。
『あの、な。優希。俺と付き合って……、くれないか?』
あんな事を言いだすなんて。
『そうじゃなくて。その、友達としてじゃなくて、もっと……』
こんな事を言いだすなんて。
そして、僕はその手をとった。
振り払わずに、そっと握った。
僕も、要人が好きだったから。
難しい事は、よく解からない。
要人は要人。昨日と同じ要人。
これから、変わっていくのかな。
変わった接し方を、していくのかな。
それは、日々に任せることにした。
時間の経過が、答えを出すだろう。
ただ、今朝の要人はやけに機嫌がよかった。
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