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第13話

   腕を引かれるまま、ポプラの陰に二人で滑り込んだ。  そういえば、子どもの頃もこんな事をしていた。  そして要人は、秘密めかして宝物を見せてくれるのだ。 「ちょっと、目を閉じて」 「何かな」  やっぱり、新しい宝物を僕に見せてくれるんだな。  そう思って、優希はそっと目を閉じた。  ふと、気配を感じた。  顔にかかる、温かい息。  要人の近づく、気配。  瞼を開くと、目の前に要人の顔があった。 「ちょっと、待て!」 「え、優希?」  慌てて優希は、要人から一歩離れた。  待ってくれ、そんな。  いくらなんでも、早すぎるだろう!?  目を白黒させる優希に、要人は困ったような顔をしている。  いや、困るのはこちらの方なんだけど!? 「ダメ?」  キスしちゃダメなのか、と訊いているんだ。要人は。 「駄目に決まってるだろう!」 「どうして?」  すねたような、顔。  ドキリとした。  初めて見る、表情。  初めて見る、要人の顔。

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