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第14話

「付き合い始めてすぐ……、キスだなんて」 「付き合いは、小さい頃からあるだろ?」 「とにかく、ダメだ!」  ちぇッ、と唇を尖らせ、要人は再び歩き始めた。  優希も並んで歩いたが、頬の火照りが治まらない。  昨日までと違う要人が、確かに僕の隣にいるんだ。 「じゃあさ、優希。こうやって、大きく息を吐いて」  そう言って、要人は白い息を長く吐いた。  朝の冷たい空気の中、要人の吐く息はミントの香りがした。 「こうか?」  優希も、大きく息を吐いた。  冬の空気に、優希の体温が混じってゆく。  その優希の吐く白い息に、要人は自分の吐く白い息を重ねた。  二つの息が、混じってゆく。  二人の吐く息が、一つに重なる。 「要人!?」 「これならいいだろ?」  優希は意外と奥手らしいや。  キスは、しばらくおあずけ。  その代り、冬は毎日こうやって白い息を交わそう。  ほんの少し、二人の間の温度が上がった心地がした。

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