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第6話 ヴァージナルのような黎明

「あの、要先輩はああ言ってくれましたけど……俺、修也先輩に、言わなきゃいけないことがあるんです。いけないっていうのは、俺が、勝手にそう思ってるだけなんですけど」 「うん?」 「俺、いけないことしてました。ずっと、高校に入る前から、今日まで。修也先輩には知られたくなかった。でも、これを言わないと、俺は、その先の、修也先輩に言いたいことが言えないんです」  いつしか、俺は泣いていた。  涙声でつっかえながら、今まで俺がしてきた「仕事」を、先輩にすべて伝えた。  その最後に、どうしても我慢できずに、好きです、と告げた。  背中を向けて、帰ろうとした。どんな顔をしていいのか分からなかった。  きっと俺はこれからの人生で、この最悪の初恋を、何度も思い出すんだろうなと思った。  それなのに、修也先輩は、俺の腕をつかんで振り向かせ、涙でびしょびしょになった俺の顔を自分の胸にうずめた。  修也先輩が、俺の頭のすぐ上で、何かを言った。  俺は自分のしゃくりあげる声で、しばらく、なんと言われたのか分からなかった。  ちゃんと聞き取れた後も、その意味が理解できずに、やっぱり、なんと言われたのか、しばらく分からなかった。  結果的に。  俺の初恋は、最悪とは真逆の展開を迎えた。  俺はそのせいで、これはこれで黒歴史になりそうなくらい、さんざんに泣いてしまった。  春が終わり、夏が始まろうとする季節の、はじめのころだった。 終

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