5 / 6
第5話 救いはあるとて
「あははー……ハルキくん、修也のことが好きなの?」
うなずく。もう、たてつく気力もなかった。
「修也が男だから好きなの? 男が好きだから修也が好きなの? 修也が好きなだけで、男は別に好きじゃないの?」
分かりません。人を好きになったの、初めてなので。
「男の客といやらしいことするのは、好き?」
嫌いです。
「じゃあ、やめたほうがいいよ。お金は別の方法でかせぎな。じゃないと、堂々と修也に告白できないでしょう」
……。
「え?」
「あたしは、修也と別れる。ていうか、振られた。ほかに気になる子がいるのに、あたしとは続けらんないって。もともと、ノリで付き合ったみたいなもんだからね」
■
要先輩とは、なにもせずに、ホテルを出た。
まだ日が高い。
そしてホテルの門には、修也先輩がいた。
俺と要先輩は、二人で飛び上がる。
「ええっ!? な、なんでここにいるんですか?」
まさか、俺の後をつけて? 修也先輩が?
「要の様子がおかしかったのと、ハルキの噂が気になって、気の知れた先輩にレンタルのふりしてもらったんだ。……お前ら」
「やーねー、ちょっと水いらずで後輩と話したかっただけだってー。なにかしてたら、こんな早く出てくるわけないでしょ」
「……それはそうだけどな」
明るい夕方に、女装姿の男子が、ホテル前に三人。なかなか珍奇なシチュエーションだが、二人の先輩は堂々としたものだった。
「じゃ、あたしはこれで。じゃーねー」
「またな。……本当に大丈夫だったのか、ハルキ? なにか要に言われたか?」
「いえ……あ、お二人が別れた、とかは……」
修也先輩に、ほかに気になる人がいるというのも。
「余計なことを」と修也先輩が息をつく。
ともだちにシェアしよう!