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第5話 救いはあるとて

「あははー……ハルキくん、修也のことが好きなの?」  うなずく。もう、たてつく気力もなかった。 「修也が男だから好きなの? 男が好きだから修也が好きなの? 修也が好きなだけで、男は別に好きじゃないの?」  分かりません。人を好きになったの、初めてなので。 「男の客といやらしいことするのは、好き?」  嫌いです。 「じゃあ、やめたほうがいいよ。お金は別の方法でかせぎな。じゃないと、堂々と修也に告白できないでしょう」  ……。 「え?」 「あたしは、修也と別れる。ていうか、振られた。ほかに気になる子がいるのに、あたしとは続けらんないって。もともと、ノリで付き合ったみたいなもんだからね」 ■  要先輩とは、なにもせずに、ホテルを出た。  まだ日が高い。  そしてホテルの門には、修也先輩がいた。  俺と要先輩は、二人で飛び上がる。 「ええっ!? な、なんでここにいるんですか?」  まさか、俺の後をつけて? 修也先輩が? 「要の様子がおかしかったのと、ハルキの噂が気になって、気の知れた先輩にレンタルのふりしてもらったんだ。……お前ら」 「やーねー、ちょっと水いらずで後輩と話したかっただけだってー。なにかしてたら、こんな早く出てくるわけないでしょ」 「……それはそうだけどな」  明るい夕方に、女装姿の男子が、ホテル前に三人。なかなか珍奇なシチュエーションだが、二人の先輩は堂々としたものだった。 「じゃ、あたしはこれで。じゃーねー」 「またな。……本当に大丈夫だったのか、ハルキ? なにか要に言われたか?」 「いえ……あ、お二人が別れた、とかは……」  修也先輩に、ほかに気になる人がいるというのも。 「余計なことを」と修也先輩が息をつく。

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