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第222話
「で?原因はなに?」
綾人を膝の上へ抱きかかえながら優一が聞くと、綾人は止まない興奮を全力でぶつけてきた。
「あのね!あのね!!ざくろが僕のこと意地っ張りで短絡的なお子さまバカだって!!酷くないっ!!?」
あながちハズれてないなと、心で頷きながら優一は笑顔を崩さず綾人の頭を撫でながら宥めた。
「そうだね。それで?」
「だから、ざくろはブラコンで九流先輩以外見えない世間知らずの大バカだって言った!!」
それもハズれてはないなと、苦笑する優一は少し表情を曇らせた綾人の顔を覗き込んだ。
「……で?」
「……………ざ……、くろがゆーいちいないと何も出来ないくせにって言うから、…………九流先輩に捨てられないように必死でみっともないって……言った……」
これはまた渾身の一撃。と、優一は大粒の涙を溜め込んだ瞳と目を合わせた。
「それで?あやちゃんは、どう思ってんの?」
「……ぅうっ…、ぅわぁ〜〜〜んっ…。ざくろ、ごめんなさいぃ〜〜〜!!!」
ボロボロと涙を流して抱きついては、言い過ぎたと後悔する綾人を優一は受け止めてやる。
「大丈夫だよ。西條も分かってるって。お互い様なんだし、謝り合いっこしたらまた仲良しになるなる!」
薄い背中をトントンしながら笑う優一に腕の中の天使はコクコク何度も頷いた。
「っで?結局、何が原因なわけ?」
綾人の懺悔しか分からんと、目の前の弟を見ると、咲也はバツが悪そうな顔で視線を伏せた。
「……あのね、すっごく自分を助けてくれる恋人がいるんだけど、すっごく面倒な忘れられない元彼、どっちを取るかって話になったんだ。ゆーいちならどっち?」
「…………それは、神楽と渉の話でいいんだな?」
腕の中で顔を上げ、モゴモゴ言い出した綾人に優一は呆れたと弟を見た。
すみません。と、顔を赤くして顔を俯かせる咲也に優一が溜息を吐く。
「僕なら絶対神楽さんと別れない!でも、ざくろは別れるって。渉君を取るってことだよね?」
身内贔屓?って顔を顰める綾人に優一がまだ涙のあとが残る頬を掌で拭った。
「いや……、咲也の気持ちを優先しろってことだろ。あいつ自身、周りに迷惑かけたくなくて、何度も猛との関係リセットしようとしてたし、辛い気持ちが分かるんだろ」
「なるほど……」
素直に頷く綾人が可愛いと額にキスをして、優一は咲也へ助言してやった。
「選べる立場なら、お前が選べ。それがあいつらの優しさだろ?」
「え……?」
どういう意味かと縋るように見てくる弟に優一は笑った。
「あいつら、甘いんだよ。俺や猛なら選ばせることなんてしない。相手の選択技を奪って、俺一本にするけどな」
横暴で冷酷だと言われようと、譲る勇気がない自分を優一は苦笑しながら、弟の背を押した。
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