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第221話
「あ〜や〜ちゃん」
「ざくろ」
互いを罵り合うようにギャアギャア咲也の部屋で喚く二人を宥めにきたのは二人にとって絶大な威力を放つ配偶者、優一と九流だった。
丁度一緒にいたらしく、咲也からのメールに二人揃って寮へ来てくれたのだが、荒れに荒れて激昂する配偶者達に優一も九流も驚きを通り越して困り果てていた。
普段仲良しの2人だが、喧嘩をすると激しいことを熟知していて収拾が面倒だと溜息を零し合う。
「なに?何の喧嘩?こんなに泣いて……」
慰めるように優一が子供のようにわんわん泣く綾人の側へ寄ると、綾人はざくろを指差して優一に抱き着いた。
「ざ、ざくろがぁあぁぁーーー、すっごい意地悪いうぅーーーーー!!!」
「綾だって、綾だって酷いこと言ってくるじゃんかぁあぁーーー!!」
泣きまではしないものの、顔を真っ赤にして半泣き状態のざくろに九流がもう止めとけと頭を抱えるように抱き締めた。
それでも二人の言い合いは治まらず、、、
「やだやだやだーーーー!ざくろが謝んなきゃイヤだっ!」
うわ〜んっと優一にしがみついて大声で泣く綾人にざくろもまた九流に抱き着いて泣き出しそうな声で叫んだ。
「俺、悪くないしっ!綾が先に嫌なこと言ってきたんだから、謝って!!」
両者譲らない様子に優一と九流が咲也を見た。
「………いや、どっちもどっちってぐらい口悪く罵りあってましたよ」
聞いてて、ある意味引くほど二人の口喧嘩に圧倒されたのは咲也だった。
仲が良い分、知り尽くしている事もあり、互いの痛い所を確実に攻撃し合っていた。
「………とりあえず、帰ろうか」
今は頭を冷やすべきだと優一が綾人の頭を撫でながら提案すると、九流も頷いてざくろと先に部屋を出ていこうとした。
だが、去っていくざくろに綾人の負けん気の強さが炸裂する。
アッカンベーと、いらん事をしてざくろを挑発するのだ。
いつもは大人びて優しいざくろも興奮状態のためか、負けじとそれに対抗するかのように、口の端に人差し指を引っ掛け、思い切りイーーーッと、悪態ついた。
子供じみたアホらしい喧嘩にどっちもどっちだと優一も九流も呆れたが、本人達は怒りにバチバチ火花を散らしていた。
「ほらほら、ざくろ。行くぞ!」
一刻も早く二人を引き離そうと九流がざくろの肩を引いて、そそくさと部屋をあとにした。
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