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第220話
現在付き合ってる人と別れないと答えた綾人に対して別れると答えたざくろ。
2人の意見が割れて、互いに驚きはしたが一番興味深そうに間に挟まれた咲也が息を飲んだ。
「うそ……。ざくろ、別れるの!?恩を仇で返す気?」
親友とまさかの不一致な考えに綾人が避難の声を上げた。それに対してざくろもまた綾人が信じられないと言い返す。
「だって他に好きな人がいる時点で失礼じゃないか!自分が相手の立場なら嫌じゃない!?」
最もな言葉に咲也が視線を泳がせると、綾人が声を張って言い返した。
「失礼なんかじゃない!だって、絶対好きになるもん!失敗した過去の人間より新しい良い人の方が未来は明るいじゃん!それに周りに迷惑かけるんだよ!違う罪悪感に苛まれる!」
こちらもご最もな意見に咲也がざくろを見た。
「でも……、自分の気持ちに嘘はつきたくない」
「そんなに良い人なら、嘘じゃなくなる」
互いに一歩も引かない二人に咲也は両意見に真剣に耳を傾けた。
きっと、どちらも間違いではない。
新しいものに向き合う覚悟を持つ綾人と自身の不安と向き合う覚悟を持つざくろ。
どちらも痛いほど分かった。
自分の考えに深く入り込んでいた咲也は2人の荒らげた声で我に返った。
「ざくろは不義理過ぎるよ!」
「綾は意地っ張りだ!」
むむむむっと、睨み合う二人はフンっと顔を逸らして喧嘩を始めていた。
互いに思うことがあるのだろう。
兎にも角にも、この事態を引き起こした張本人である咲也はどう、収取を付けるべきか悩んだ。
悩んだが何が正解で不正解なのか。また、自分の考えが不安定なことから何も言えず、仕方ないと携帯電話を手に取り、居た堪れない気持ちで助けのメールを打った。
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