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第219話
「………なぁ、お前って兄様といるとどんな感情になる?」
ざくろと一緒にお菓子を頬張る綾人を横目に咲也はほんの少し、緊張感を滲み出す声色で聞いた。
「え?ゆーいち?相変わらずムカつくよ〜」
いつも通り、空気を読まない綾人の返答に咲也はがっくり肩を落として小さく溜息を吐く。
それを見ていたざくろが察したように微笑んで、咲也へお菓子を勧めながら答えてやった。
「俺は猛といると落ち着くよ。だけど、前も今もドキドキするし、ヤキモチも焼く。恋と愛が合体したって感じかな」
聞きたかった答えに沿うようなざくろの言葉に咲也は声を荒らげ、前のめりになって聞いた。
「と、友達が!友達が悩んでるんだけどな!付き合ってる人がいるんだって!だけど、他の奴に好きだって言い寄られてて……」
「………………うん。それで」
友達の話にするにはかなり無理があると、さすがの綾人でも思ったが、ここは年上の寛大な心で2人は苦笑しながら咲也の話に耳を傾けてやった。
「その……、そいつのことが好きらしいんだ」
言いにくそうに口篭る咲也に綾人がキッパリ言い切った。
「答えが出てるなら、その人と別れて好きな人と付き合えばいいじゃん」
「それじゃあ、ダメなんだ!」
「どうして?」
即答する咲也に今度はざくろが不思議そうに聞くと、咲也は切実に言葉を捻り出した。
「その……、付き合ってる人には恩がある。自分勝手に切り捨てたりしたくないんだ。凄く良い人だからっ!きっと、一緒にいたら今後絶対好きになると思う……。それにもう一人とは一度失敗してるし、色々問題もある……」
「問題?」
「周りに迷惑がかかるんだ。自分達では解決出来ないことかがあまりにも多すぎる……。周りに負担ばかりかけることになる………」
視線を落として、心と頭がバラバラで苦しいと呟く咲也に綾人とざくろが同時に答えた。
「僕なら別れない」
「俺なら別れる」
真っ二つに割れた意見に綾人とざくろの二人は驚いたように顔を見合わせた。
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