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第218話

「はぁーーーー……。嫌な答えになった」 思っていた事態に陥ったと、頭を抱えて呟く。 二宮のことは好きだ。 今後もきっと…… だけど…… きっと…… 渉を想うような好きにはなれないだろう 憧れや尊敬。 安心という心地良さに溺れるだけで、身を焦がすように胸が痛むことはない。 それが悪い事とは思わないが、それが恋なのかは分からなかった。 自分が知る恋とはあまりに違いすぎて……… 経験の少なさから答えが見つからず、咲也は参ったと両手で顔を覆った。 瞼の裏に映るのは……… コンコン ___ ふいに扉を叩く音がして、咲也は弾かれるように我に戻った。 「……………はい」 居留守を使おうかとも思ったが、今は一人になりたくなくて返事をした。 「やっほー!」 咲也の返事で扉が開くと、ピョッコリ顔を見せたのは上機嫌の綾人だった。 「あのねー、九流先輩がいっぱいお菓子買ってくれたから一緒に食べよ?あとね、ざくろもいるよ〜」 ほわほわした綾人はざくろの腕を引っ張って咲也の部屋へと誘った。 遠慮気味にお邪魔しますと、会釈するざくろの両手にはお菓子が大量に入った大きな袋がいくつもぶら下がっている。 「いきなりごめんね。猛がたくさん買ってくれて…」 「九流先輩、さすがだよね〜!ゆーいちは虫歯になるからって全然買ってくれないもん」 部屋へと突き進み、綾人はざくろから大量のお菓子を受け取ると、ウキウキしながらテーブルの上へあれこれ並べた。 「こらこら。食べてもいいけど、本当にちゃんと歯磨きしてよ!俺が門倉先輩に叱られるんだから」 「大丈夫!大丈夫〜」 イチゴ味のポッキーがお目当てだったのか、綾人は一目散に封を開けると頬張った。 「美味し〜。ざくろもあ〜ん」 「……ん、ありがとう」 口の中へほぼねじ込むような感じでポッキーを食べさせられるざくろは困ったように笑っていた。 だけど、子供のようにはしゃぐ綾人を見る目は優しくて、咲也はその視線の先の綾人を見つめた。 天真爛漫で泣きたい時に泣き、笑いたい時に笑う。怒る時も遊ぶ時も何かと全力な綾人に咲也はよく思っていたことを口にした。 「お前、そんなんでよく疲れないな」 呆れるというより感心する気持ちが大きいと咲也が言うと、綾人は首を捻る。 「別に疲れないよ。どっちかっていうと、ゆーいちや咲也君の方がしんどそう」 「いやいや…、感情剥き出しの方がしんどいっつーの」 「そう?感情殺す方がストレスじゃない?」 昔、頑張ってしてみたけど、オーバーヒートしたと苦笑いする綾人に咲也は目を瞬かせた。

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